難関コースで唯一の1R“2イーグル奪取” キャリア24年の市原弘大がアップデートしていることとは? 

6年ぶりの優勝を目指す市原弘大(撮影:鈴木祥)

<BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 3日目◇8日◇宍戸ヒルズカントリークラブ 西コース (茨城県)◇7430ヤード・パー71>

2018年大会覇者の市原弘大が前半から飛ばした。2番、6番(ともにパー5)で2イーグルを奪い、上位を追いかけた。

2ホールで4つスコアを伸ばせたのは大きかった。「7番ぐらいから難しいので、6番までで2イーグル獲れたのはすごく組み立てがしやすかった。多少のピンチがあっても、ボギーでも仕方ないと思える状態にできた」と序盤で貯金ができたからこそ、気持ちに余裕ができた。

プレッシャーから解放された市原は8番でボギーとするも、後半は17番までボギーなしの3バーディ。18番こそボギーとしたが、「1日を通じていいスコアになった」と振り返る。そんなムービングデーは2イーグル・3バーディ・3ボギーの「67」で回り、トータル7アンダー・10位タイで日曜日を迎える。

18年11月の「ダンロップフェニックス」以来となる6年ぶり3勝目がかかる最終日となる。2勝目以降、勝利から遠のいているが「賞金シードを継続して取れていたことがすごく良かったなと思っていて」と同年は賞金ランキング4位に入り、それ以降は60位(19年)、55位(20-21年)、52位(22年)、43位(23年)と上位65名に付与されるシード権は守り続けた。

高校卒業後の01年にプロ転向し、10代、20代、30代と歳を重ねるごとに体の変化を感じてきた。「手の指とか、少し痛くなったりすることもあった。負担のかからないように少しずつ変えていたのはあります」と自分の体に合わせたスイングを研究し、いまも「それは継続」しているという。その変化が、シード維持にもつながっている。

ただ、周りも同時に変化しているのがいまの男子ゴルフ界だ。「3、4年ですごい距離も伸びてきた」と今大会の第1ラウンドの平均飛距離を見てみると300ヤード越えが132人中57人と飛ばし屋が増加。「そのなかでしっかり距離を出していくかというのはいつも課題だと思ってやっています」と動きのキレを落とさないために、瞬発系として走り込みや、ジャンプトレーニング、素振りなども行っている。

若手の台頭いちじるしいなかで、いかに自分が残り続けるか。そこと向き合うようにしてきたが、今大会で3勝目のチャンスが巡ってきた。「自分のものとしっかり向き合ってやっていけたらなと思います」と、ベテランプロらしく冷静に意気込んだ。キャリア24年の強さを見せつけたい。(文・高木彩音)

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