【1日3分間のメンタル強化法 第12回】“ルーティン名人”になってベストパフォーマンスを発揮しよう!<SMASH>

テニス競技はメンタルによって大きく結果が左右されるスポーツです。しかし、メンタルを強化したいけれど「なんか大変そうだ」と敬遠している人はいないでしょうか。

本シリーズでは一般プレーヤーに向けて、伊達公子氏や浅越しのぶ氏といった日本テニス界をけん引したトップ選手の指導経験を持つメンタルアドバイザー椙棟紀男氏に、簡単に身に付くメンタルの強化方法を伝授してもらいます。

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ルーティンとは、手順や決め事と解釈してください。多くのアスリートが、平常心で戦うとよく言葉にしますが、実際は適度な緊張感のある方が良いパフォーマンスを発揮できます。その最適な状態に自分を持っていくために、トップアスリートたちの多くが自分流の「儀式(パターン)」を持っているのです。

ルーティンはゲン担ぎとは少し違い、目的達成のために行ないます。例えば、最高の自分を表現、困った時(ピンチ)の切り換え、相手のプレーの予測などです。
実際のルーティンには“動作ルーティン”と“言語ルーティン”があります。動作ルーティンとは、イチロー選手や五郎丸選手のように集中力を高めるために行なう一連の動作のことです。

自分のルーティンを作る時は、“自分のクセ”を見つけて活用するのも1つの方法です。テニス選手で見かけるのは、「サービスを打つ前に足の間にボールを通す」「ポイント間にストリングを直す」などです。普段自分が行なっている行動を思い返してみてください。それを発展させることで、ルーティンにすることができます。

ソフトバンクの捕手、甲斐拓也選手が、高校時代に癌で亡くなった先輩マネージャーが贈ってくれた色紙の「心」という字を、イニング毎に指でグラウンドに書くのは有名な話です。これも気持ちを整えるルーティンです。

一方、言語ルーティンとは、プラスの言葉を自分に語りかけてあげることです。「楽しめばいいことが起こるよ」「みんなの応援を力にしよう!」などがあります。

日々の練習で、この言葉を言うと自然体になれる、流れが良くなると思えるものを作っておくことです。そうすれば、試合前やピンチの時に自分に語りかけることで、自然体に戻れます。あなたも“ルーティン名人”になって、ベストパフォーマンスを発揮できる準備をしてください!

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2021年3月号から抜粋・再編集

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