タイガーのシャフトはどんな性能? 僕らに合うスペックは?「ツアーAD VF」

2023年10月に発売されたグラファイトデザイン TOUR AD 「VF」(撮影/有原裕晶)

赤と黒のコントラストが特徴の「ツアーAD VF」は、タイガー・ウッズが使って話題になったシャフト。ウッズ以外にもトム・キムが装着するなどPGAツアーのハードヒッターたちの指示を得ている。アスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、飛距離、弾道、特徴をチェック。詳しい性能についてはギア知識の豊富なミタさんが解説した。

「CQ」とは真逆の中元調子。先端側に高弾性素材

元調子系でありながらシャープな振り抜きやすさを追求した(撮影/有原裕晶)

【ミタさん】
今回紹介するのは「ツアーAD VF」。タイガー・ウッズが装着しているのを見て気になった人も多いでしょう。

【コウタロウ】
それ、シオさんのことですね(笑)。

【シオさん】
そりゃ打ちたくなりますよ。ずっと気になっていました。

【コウタロウ】
でもウッズが使っているシャフトですよ。シオさん打てますかね?

【シオさん】
前作『ツアーAD CQ』はすごく打ちやすかったですし、スペックさえ間違えなければ…。

前作「CQ」は高弾道が打ちやすかったが、今作の「VF」は強い低弾道になりやすい(撮影/服部謙二郎)

【ミタさん】
特徴としては「CQ」と「VF」は真逆の位置付けとなります。「CQ」は歴代ツアーADの中でもトップクラスの高弾道とつかまりだったので、かなりやさしい部類でした。

【コウタロウ】
ということは「VF」は超ハード!?

【ミタさん】
ハードというよりは打球の高さを抑えられています。「CQ」は先中調子だったので、先端側がしなって打球が上がりやすかった。「VF」は中元調子。手元側にトレカRM40 Xというシャープに振りやすい素材を使いつつ、先端側はトレカRT1100Gという弾性率の高い素材を使っています。

多くのツアープロが使用している「VF」は一般アマチュアでも打てるのか(撮影/服部謙二郎)

【シオさん】
中元調子はツアーのトレンドですね。ヘッドスピード40m/sの私には厳しいですか?

【ミタさん】
ウッズが使っているスペックは60グラム台のXですが、ラインアップには40グラム台のシャフトもありますし、50グラム台でもフレックスRがあります。色んなスペックを試す価値はあると思います。ちなみにウッズは3番ウッドも「VF」にしたそうです。

【シオさん】
では、とりあえず50グラム台から打ってみますかっ!

「DI」よりマイルドだけどスピーディ!

元調子系ながら程よいつかまりが感じられた(撮影/服部謙二郎)

【シオさん】
最初に「5S」を打ちましたが、意外とつかまりが良くて、そこまで手強いシャフトではありませんね。スライス系の打球が出るかと思っていましたが、ストレートドローくらいの球筋でしたね。

【ミタさん】
ボールスピードも出ていますし、打球も上がっているので、計測データは良いですよ。

【コウタロウ】
バックスピン量が2200回転あるのは、超ロースピンヒッターのシオさんには安心できる数値ですね。他のカスタムシャフトで1500回転くらいのときもありましたから。

【シオさん】
手元から中間部分のしなりがとてもスムーズでクセがないので、インパクトのタイミングが合わせやすかったです。先端側はしっかりしていますが、程よく動いてくれるから気持ち良く打てました。

【ミタさん】
他のスペックはどうでしたか?

【シオさん】
「5R1」は、「5S」とほとんどフィーリングの違いは感じられなかったですね。ただ、「4S」になると明らかに違います。軽いだけではなくて、中間部分のしなりが大きい。はじめて打った感じだと「5S」が良かったですが、「4S」の方がインパクト付近の軽快感があり飛距離が出そうです。

フレックスが硬いほど低弾道になりやすく、先端部の剛性の強さが感じられた(コウタロウ)(撮影/服部謙二郎)

【ミタさん】
コウタロウは試打した感想はどうですか?

【コウタロウ】
シオさんとスペック違いの「6X」を打ちましたが、第一印象は「しっかり感があるな」という感じ。叩いていけるので左のヒッカケが出ません。先端側はかなり硬いですね。「5X」も打ってみましたが硬さはほとんど変わらず、ほんの少し軽くなったかなという印象です。

【ミタさん】
「5X」、「6X」になるとやっぱりハードですか?

【コウタロウ】
やさしいシャフトではないですが、同じ手元調子系の「DI」に比べるとマイルド。少なくとも「DI」よりはつかまりが良かったですし、シャフトのしなりが大きくて戻りも強い感じがするので、「DI」よりもインパクト付近のスピード感がありました。大人しいダブルキックのような印象です。

シオさんは5S、コウタロウは6Xでの平均データ

【ミタさん】
40、50グラム台はある程度のつかまり感がありつつ、打球は中・高弾道。ヘッドスピード40m/s以上のゴルファーであれば十分に使えます。一方、60グラム台になるとフェード系の打球になるので、左が怖いパワーヒッターにオススメ。ヘッドスピードとしては最低でも45m/s以上は必要だと思います。中元調子のシャフトとしては、かなりスピードが出せます。

【コウタロウ】
48歳になったウッズも、飛距離が欲しくて「VF」にした可能性がありますね。

■ 試打したシャフトのスペック

40グラムから70グラムまでのラインアップ(撮影/有原裕晶)

グラファイトデザイン VF

●モデル/フレックス/重量/トルク
VF-4/S/47.0g/5.5
VF-5/R2/55.0g/4.3、R1/55.0g/4.3、S/56.0g/4.3、X/59.0g/4.3
VF-6/S/65.0g/3.3、X/67.0g/3.3

●調子:中元

■ マイクラブ情報

シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S

コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED(ベンタス ティーアール レッド) 6 ●硬さ:X

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