気づかないうちに【おばさん臭】を発しているかも!? そのチェック方法とは?

かつて「加齢臭」といえば、スーツを着たおじさまたちのものとされていました。ですが、実はマチュア世代の女性たちも無縁ではないことをご存じですか? 汗ばむこの季節、「おばさん臭」の正体を知って、賢くケアを始めましょう!

お話を伺ったのは
関根嘉香さん・東海大学理学部化学科教授

せきね・よしか●1966年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了、理学博士。
日立化成工業勤務を経て、2000年に東海大学へ、11年から現職。大気環境やシックハウス症候群の予防・改善に関する研究を通して、人体の皮膚から発せられる生体ガスに着目。現在は主に、その分析と情報伝達機能に関する研究に従事。

関根嘉香さんの最新刊『皮膚ガスのはなし 体臭は心と体のメッセージ』朝倉書店 2750円

加齢臭の原因は「皮脂」。肌を清潔に保ち、上手におつき合いを!

起き抜けの寝室や、脱いだばかりの自分の衣類から、古本のようなニオイを感じたことはないだろうか? それこそが加齢に伴って発生する皮膚ガス、いわゆる「加齢臭」と呼ばれるものである。東海大学教授の関根嘉香さんによると、この独特のニオイは、性別を問わず、ある一定の年齢を超えると発生するようになるのだという。

「『加齢臭』の正体は、ノネナールという物質。個人差はありますが、男性は35歳くらいから、女性は40歳くらいから発生するようになり、50代に入ってからニオイを実感する方が多いようです。そもそもノネナールは、皮脂の中のパルミトオレイン酸という成分が酸化したもの。皮脂の分泌量自体は加齢とともに減少するのですが、なぜかパルミトオレイン酸の量は年とともに増加し、さらに酸化を促す活性酸素も年齢を重ねるにつれ増えるため、ノネナールの生成量が増えるというわけです。

ですから、下のグラフのとおり、年齢が高くなるほど、加齢臭は強くなっていきます。ちなみに『加齢臭と更年期は関係がある』と思われがちですが、直接の因果関係はありません。ただ、ホットフラッシュなどで汗の量が増え、ニオイを強くしてしまうこともあるので、汗をかいたら早めにふき取るなどのこまめなケアをするとよいでしょう」(関根さん)

年代別のノネナール分泌量

ニオイのもととなる「ノネナール」は、女性の場合40歳頃から分泌が始まり、右肩上がりで増加する。(関根さん提供)

本人は意外と気づきにくい自分が発するニオイ

この「加齢臭」、自分から発されているかどうかが、気になるところ。具体的には、どんなニオイなのだろうか。

「ニオイに対する感じ方や表現は、人によって本当にまちまち。そのため、なかなか言語化しにくいのですが、一般的には『古本のようなニオイ』『枯れ草のようなニオイ』といわれています。その原因物質は皮脂に含まれるので、皮脂が多く分泌されるところが、そのままニオイが出やすい場所に。たとえば、頭や耳の裏、意外なところでいうと背中などは要注意」

だが、自分の体は、手や足などではない限り、直接そのニオイをかぐのは難しい。そこで、自分から加齢臭が出ているかどうかを確認する方法として、関根さんはこんなやり方を提案する。

「自分の皮脂が付着した下着や枕などを用意し、それを空気とともにポリ袋の中に入れて口を閉じます。そのあと、外の新鮮な空気を吸うなどしていったん鼻をリセットしてから袋の中のニオイをかぐと、自分の体臭を感じることができます」

加齢臭が発生しやすい部位

ただ、加齢臭に敏感になりすぎるのは、かえって逆効果だともいう。

「昔と比べて室内外の空気がきれいになったせいか、現代人はあらゆるニオイに過敏になっているきらいが。そもそも、加齢臭が出ることは健康な証し。エチケットとしてなるべく毎日入浴し、皮脂を落とすことを心がける程度でよいでしょう。実は人間はストレスがたまると、今度は『疲労臭』というまた違ったニオイを発するようになるため、まずは心身を健やかに保つのが、一番の体臭対策になります」

雑誌『ゆうゆう』読者アンケート

『ゆうゆう』読者の女性も、実に3人に2人が体臭に悩み中! その具体的な内容とは?

最もニオイが気になる部位として挙がったのが、ずばり頭皮。「枕がくさい」「髪の毛を触ったあとの手がニオう」「特に夕方にニオイを感じる」とのコメントが。

また、脱いですぐの肌着をはじめ、衣類からのニオイを強く感じるとの声も多数。「脂っぽいニオイが気になる」「玉ねぎのようにキツい臭気がする」という具体例も寄せられた。なかには「洗濯してもなかなか取れない」と対策に悩んでいる方も。

【次回と次次回で「おばさん臭』対策の具体的な方法をご紹介します】

※この記事は「ゆうゆう」2024年7月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

取材・文/栗田瑞穂


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