九州各県に後れとる水防対策 沿岸の高潮浸水想定区域図4海域で未作成 ハード整備も想定水準に追いつかず 鹿児島県

 鹿児島県は11日の県議会総合政策建設委員会で、県内沿岸全域を対象に高潮浸水想定区域図を順次作成し、2025年度までに区域指定する予定と明らかにした。

 国の方針で、鹿児島の場合は沿岸を大隅、鹿児島湾、薩摩、薩南諸島、八代海の5海域に分けて指定することになっている。八代海は21年3月に区域図を作成・公表したが、指定はいずれの海域もしていない。

 高潮の区域指定は、15年の水防法改正で県に義務付けられた。発生原因となる台風の中心気圧などの条件を全国一律で規定し、想定される最大の浸水範囲や深さを各都道府県が区域図にまとめる。

 都道府県が区域を指定すると、市町村に防災マップ作成などの義務が生じる。

 河川課の福永和久課長は取材に、「最大想定の高潮に対応できる水準まで、ハード整備が追いついていない。住民避難など災害のソフト対策に区域図を活用してほしい」と話した。

 沖縄を除く九州で区域図の公表が終わっていないのは、他に長崎県のみ。

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