九産大の9番打者が攻守にファインプレー リードオフマン先発外の危機から救った【全日本大学野球選手権】

タイブレークの延長11回2死一、三塁、左前に適時打を放ちガッツポーズする九産大・岩下(撮影・安藤由華)

◆第73回全日本大学野球選手権2回戦 九産大5―4仙台大(12日、東京ドーム)

九産大(福岡六大学)が延長タイブレークの末に仙台大(仙台六大学)に競り勝ち、4強進出した2018年の第67回大会以来、6年ぶりの準々決勝進出を果たした。13日、神宮球場で早大(東京六大学)との準々決勝に臨む。

3―3の均衡を破ったのは春季リーグ戦打点王のバットだった。11回2死一、三塁から打席に立ったのは9番の岩下天翔(3年・千原台)だった。リードオフマンでチームを支える浦田俊輔(4年・長崎海星)が左ふくらはぎに張りを感じてスタメンから外れた試合。「出られなかった浦田さんの顔が浮かび、スタンドからの声も聞こえたので何とかしたい」と自身に言い聞かせていた。

カウント3ボールから1球速球を見逃すと「(次も)真っすぐしかない」と狙い球を絞り、148キロの低めの速球を左前にはじき返した。1回戦の福岡大戦は4打数無安打。「力んでいたのでムラのない打撃をしよう」と試合がなかった11日の練習でバットを指2本分短く持ってコンパクトなスイングを心がけていた。

仙台大戦は2回に左前適時打を放つなど5打数3安打2打点の活躍。さらに二塁の守備でもチームのサヨナラ負けを阻止する好守を見せた。10回2死満塁で一、二塁間を抜けそうな左打者の打球を横っ跳びで捕球して送球し、打者走者を間一髪でアウトに。大久保哲也監督が「抜けたと思った」と敗戦を覚悟したほどのチームの危機を救ったのは岩下の万全な準備だった。岩下は「引っ張る打者なので一塁の方に2、3歩寄って守っていた。(打球が来るという)意識が強かったので1歩目が早く出た」と胸を張った。

試合前に浦田から岩下は「この試合を勝って次(の準々決勝)に行こう」と声をかけられていた。リーグ戦で13打点を挙げた最強の9番打者の好打好守で浦田との約束を果たし、4強進出をかけて早大に挑む。「強い相手なのでロースコアに持ち込み、チャンスで1、2点取って勝ち抜きたい」と言葉に力を込めた。(安田栄治)

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