「ふるこはん泊」復活 国宝勝興寺で小中生 

宿泊体験が復活する国宝勝興寺

  ●高岡で7月、平成の大修理で途絶え

 高岡市の国宝勝興寺で7月、子どもの夏休みの恒例行事だった宿泊体験「ふるこはん泊」が復活する。2021年までの23年間に及ぶ「平成の大修理」が始まったのを機に途絶えていたが、地元の自治会児童部と壮年団体「雲龍(うんりゅう)会」が夏の思い出を作ってもらおうと再開を決めた。夕食や肝試しで交流を図り、令和に輝きを取り戻した加賀藩ゆかりの古刹(こさつ)で子どもの郷土愛を育む一助とする。

 高町自治会によると、「ふるこはん」の愛称で知られる寺での宿泊体験は1989(平成元)年の8月、当時の雲龍会会員が子どもたちに蚊帳で寝る経験をさせてあげたいと初めて実施した。寺では夏と冬の大きな法要時に県内から門徒が集まり、100人単位で宿泊していたことから、多くの蚊帳が残っており利用していた。

 実施主体は雲龍会から途中で伏木地区児童クラブに切り替わり、98年に「平成の大修理」がスタートしたことで途絶えたという。当時参加していた小中学生が現在の雲龍会に名を連ねており、自分たちが体験した面白さを伝えたいと復活を企画し、勝興寺と同寺文化財保存・活用事業団から快諾を得た。

 寝場所は、当時使っていた大広間から本堂に変更される予定。中学生の時に宿泊した雲龍会の中田一弘会長(44)は「とてもドキドキした思い出があり、同級生とは『恋バナ』をして楽しかった。まず復活させてみて、ゆくゆくは伏木全体の行事にしたい」と話した。

 自治会と雲龍会によると、大修理前までは、寺は地元の子どもたちにとって格好の遊び場だった。境内では三角ベースが繰り広げられ、雪が積もれば本堂の屋根をスキーで滑る子もいたという。高岡市牧野地区から移住した立野嘉之児童部長(42)は「自分の子どもにも、より寺に親しんでもらいたい。このイベントを通じ、町の交流が深まるとうれしい」と願った。

 「勝興寺に泊まろう会」と銘打ったイベントで7月27日の夕方から、中学生までを対象に寺で1泊する。夜には全員でカレーライスを食べ、境内で肝試しを行う。門前の高台にある高町自治会児童部と、寺の世話をする雲龍会は広く地域住民が参加する行事としたい考えだ。

宿泊体験に向けて話し合う雲龍会の会員=高岡市伏木古国府の高町公民館

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