手足口病、県が警報 5年ぶり、過去最も早く

 石川県は12日、ウイルス性感染症「手足口病」が県内で流行しているとして、警報を発令した。県内29カ所に設けた定点医療機関の患者数の平均が2週連続で基準の5人を上回った。警報を出すのは2019年7月以来5年ぶりで、制度が設けられた10年以降で最も早いタイミングとなる。例年7月下旬ごろに患者が増えるが、今年は前倒しで感染が広がっており、県は手洗いなど予防の徹底を呼び掛けている。

 県が12日に公表した今年第23週(3~9日)に定点医療機関を受診した手足口病の感染者数は1定点当たり6.59人。前週の5.72人に続き、警報発令の目安となる5人を超えた。

 全体では191人で、保健所別にみると金沢市が9.55人で最も多く、石川中央が7.83人、能登中部が5.25人で続いた。県によると、前週までに石川を含む12府県で警報基準に達しているという。

 県の担当者は、感染拡大時期がいつもより早い理由について、季節外れの暑さが影響している可能性があるとする。新型コロナウイルスの感染が広がった20年以降、インフルエンザやプール熱と呼ばれた「咽頭結膜熱」が例年にないパターンで感染者が増えた経緯があり、手足口病もそうした傾向が想定されるという。

 県内では、アデノウイルスによる流行性角結膜炎も増加。第23週の患者数は前週比2倍の34人で、1定点当たり4.86人だった。保健所別では石川中央が23.00人で、保育施設での集団感染が確認されている。新型コロナは前週比18%増の168人だった。

 ★手足口病 乳幼児に多い感染症で、口の中や手のひら、足裏に水疱(すいほう)性の発疹ができる。数日中に治癒する場合が多いが、高熱が続いたり、水分が取れなかったりといった症状が出る場合は医療機関の早期受診が必要となる。治癒後も長期間、ウイルスが便として排せつされるため、県は適切な処理とこまめな手洗いを求めている。

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