米QTの予選免除、欧州切符、来年の出場権… 清水大成が初の全米で目指すコト

初の海外メジャーに挑む清水大成(撮影:ALBA)

<全米オープン 事前情報◇12日◇パインハースト・リゾートNo.2(米ノースカロライナ州)◇7548ヤード・パー70>

日本最終予選会を突破して迎える初めての海外メジャー。清水大成はワクワクとともにパインハーストに足を踏み入れた。憧れの舞台に緊張することもなく、「(雰囲気は)いいですね。楽しそう」と、ムードを全身に浴びる。子どもたちからねだられるサインにも、笑顔で積極的に対応していた。

「みんな憧れですよね」というタイガー・ウッズ(米国)やローリー・マキロイ(北アイルランド)と同じフィールドにいて、11日(火)の練習場ではフィル・ミケルソン(米国)と隣に並んで球を打ち込んだが、「あ、見ました」と言うだけでいつものクールっぷりは変わらない。そのなかでも唯一、声のトーンを上げたのが、リッキー・ファウラー(米国)とロッカーの位置が近かったことを話したとき。「反対側くらいでした」と笑った。

同級生でこの6月からDPワールド(欧州)ツアーに主戦場を移した桂川有人は、ロサンゼルスCCで行われた昨年大会で4日間を戦った。「有人には『普通にやれば予選は全然通ると思うよ』と言われたけれど、普通にするのが難しいですよね(笑)」。距離が長くてアンジュレーションに富んだ砲台グリーンともあって、230ヤードからピンポイントに狙っていくショットも求められる。「その精度はあまり持っていないので…、どうするんですかね(笑)。本当に外しちゃダメなところだけケアして、頑張るしかない」と、いま持つ技で最良の戦略を立てていく。

11日(火)には松山英樹と9ホールの練習ラウンドをともにした。初めての同組プレーに“緊張”しきりだったが、その世界最高峰の技術を目で盗んで、学んだ。

かねて海外ツアーを目指しており、今秋には米下部コーン・フェリーツアーの予選会を「受けようと思っています」。例年通りであれば、日本ツアーの賞金ランク上位者という資格で、2次予選から受験ができる見込み。そして、シーズン終了時点での上位3人には欧州ツアーの出場権が与えられ、欧州ツアーからPGAツアーへ昇格するという“久常涼ルート”もある。

海外メジャーの賞金は日本ツアーの賞金ランクにも反映されるが、円安の影響からビッグマネーを手にできる可能性もある。現時点の8位からのジャンプアップを目論む。「そこは狙っていきたい。ヨーロッパツアーも行けるなら行きたい。まずは予選を通過して、そこから上位に入りたい」。来年の出場権も得られるトップ10が目標。予選会を経て乗り込んだ全米の地を、将来の夢への大きな一歩を踏み出す場所にしたい。(文・笠井あかり)

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