ソフトバンク栗原陵矢が守った荒れ球投手相手の〝鉄則〟負傷翌日でも近藤健介が与える重圧は違う

4回1死二塁、中前適時打を放つ栗原(撮影・穴井友梨)

◆日本生命セ・パ交流戦 ソフトバンク6―3ヤクルト(13日、みずほペイペイドーム)

ヤクルトの高橋は立ち上がりから力が入り過ぎて、初回と2回だけで5四球と球が荒れていた。こんな投手に対して、打者は自分のゾーンを広げては駄目。球を追いかけてしまうからだ。4回に3点目のタイムリーを放った栗原はこの鉄則をしっかり守れていた。

初回、2回と無死満塁とした後で押し出し四球による1点ずつしか取れず、山田の一振りで同点とされる嫌な流れ。その直後の攻撃で今宮が二塁打を放つと、栗原はゾーンを絞った中で外寄りの真っすぐを確実に捉えた。状態がいい証拠だし、さらに打線がつながって3点を勝ち越せたのは大きかった。

大敗した前日12日は9回に2ラン。カウント3―1から狙い通りの真っすぐを右翼席に運んだ。点差があるからといって、雑にいっては仕留められない。その集中力をこの日も保っていた。2回は2球で追い込まれながら、ファウルで粘り10球目で四球を選んだ。

柳田に代わる3番に座る栗原だけでなく、2打席連続二塁打の今宮、3安打の周東も良かった。打撃の形が少し崩れている山川とは話す機会があったが、自分の課題は理解していた。練習でやるべきことをやって調整してくるはずだ。

12日に右手を痛めた近藤は、初回の押し出しを含む2四球を選んだのはさすがだった。相手に与えるプレッシャーは他の打者とは違う。本来のスイングとはまだ違うが、交流戦が終われば、リーグ戦再開まで4日間空く。そこまで何とかしのいでほしい。(西日本スポーツ評論家)

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