![](https://nordot-res.cloudinary.com/c_limit,w_800,f_auto,q_auto:eco/ch/images/1174230180194730048/origin_1.jpg)
Image:Below the Sky/Shutterstock
現在、半導体チップ製造の最先端にある3nmプロセス技術においては、台湾のTSMCが独走している状態だ。競合するサムスン電子も追撃を急いでいるが、電力効率や歩留まりの向上に苦戦しており、十分な顧客が獲得できていないとの報道もあった。
そんななかTSMCの3nm製造ラインはアップル、クアルコム、NVIDIA、AMDのIT大手4社に独占的に予約されており、2026年まで空きがないと報じられている。
台湾メディア経済日報によると、TSMCの3nm製造キャパシティは昨年と比べてほぼ3倍になっているものの、業界の需要は現在ピークに達しているという。
同社の3nmプロセスは複数あるが、N3EはAIアクセラレーターや高価格帯スマートフォン、データセンターから引く手あまた。N3Pは今年後半に量産が始まり、モバイル機器から基地局に至るまで主流になると予想されている。
ちなみに技術進歩の時系列に並べれば、N3<N3E<N3P<N3Xとなる。アップル製品でいえば、iPhone 15 Proモデル用のA17 ProやMacBook Pro用のM3チップははN3で、最新iPad Pro用のM4チップはN3Eで製造されたとみられている。
![](https://nordot-res.cloudinary.com/c_limit,w_800,f_auto,q_auto:eco/ch/images/1174230189396017685/origin_1.jpg)
Image:TSMC
TSMC自らが値上げする動きは、まだ確認されていないという。TSMCは品薄の程度よりも、プロセスそのものの価値に基づき価格を上げてきた経緯があり、今のところ親密なパートナーらと「戦略的に」協力する姿勢を見せているとのこと。
ただし、3nmチップの供給が逼迫し続ければ、TSMCが値上げをしないという保証はどこにもない。その場合、ひいては発注元のアップルやNVIDIAが、製品の価格に転嫁することもあり得るだろう。
TSMCは5nm製造ラインの一部を3nmにシフトし、月産18万枚のウェハー生産を目指しているとも伝えられており、逼迫が改善する可能性はある。
もっとも今後2年間の受注には、インテルの次世代モバイル向けCPU「Lunar Lake」(N3Bを使用)投入に伴う需要を織り込んでいないとのことで、しばらく不透明な状況が続きそうだ。