「スイカ磨く機械なんて存在したのか…」 農家支える1台、見た目はボロボロも…現役の働きぶりが話題

スイカ農家のレトロな機械が話題に(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「祖父の代から始めた農業は夫で3代目で、就農12年目」 夫婦で頑張る農園

暑い季節が近付いてくると、食べたくなるのがスイカだ。スーパーなどの店頭で、丸々とみずみずしく育った“夏のごちそう”を見かけるようになってきた。SNSで、収穫作業でスイカの表面をきれいに磨く機械を紹介した動画が反響を呼んだ。投稿者は夫婦で営む農家の妻で、この自動ブラシ機は亡き祖父の代から30年以上使い続けている「大切な品」だという。消費者によりいい野菜や果物を届けたいという強い思いにあふれている。

大きく育ったスイカが高速回転するブラシにもまれながら、移動していく。そうすると、黒と緑のおなじみの模様がツヤツヤに輝き出す。

「スイカは1つ1つ、馬毛で磨いてツヤツヤに 機械は亡きじーちゃんの代から使ってるからもうボロボロだけど、なおしながら使っています。まだ現役だよ」

自動ブラシ機による収穫作業の様子を紹介したのは、農家のヨッメ(@maeda_nou3)さん。長崎・島原市の農家で、スイカをメインに栽培し、トウモロコシやレタスも育てており、ネット販売にも取り組んでいる。「祖父の代から始めた農業は夫で3代目で、就農12年目になります。現在は夫婦2人で農業をしています」と話す。

この機械は「サトー式自動ブラシ機」。年式は確認ができなかったが、祖父の代から30年以上、大事に使っている。

なぜ表面を磨くのか。「収穫時のスイカは、ブルームと呼ばれる白い粉で表面が覆われており、少し白く曇った状態なので、磨き上げてつやを出してから出荷します」とのことだ。このブルームについては「果実の表皮を保護する役割があります。乾燥や病害虫から果実を守る自然のコーティング剤のようなものです。そのままだと白く曇ったままで見た目が悪いので、磨いてつやを出してから出荷しています。ちなみにスイカは元々表皮が分厚いため、ブルームをふき取っても問題ありません」と、丁寧に教えてくれた。

さらに、「スイカを置くとスイカが自動で回転しながら進み、馬の毛のブラシで磨くことでスイカの美しさを最大限に引き出します。落ちた先にはかりが2か所についており、左右交互にスイカが落ちてくる仕組みです。はかりで計量し、サイズ毎に分けています」。優れものの農業機械だ。

スイカ収穫時に活躍する自動ブラシ機が話題に【写真:農家のヨッメ(@maeda_nou3)さん提供】

自動ブラシ機はレトロ感あふれるが、現役バリバリで活躍を続けており、スイカの出荷をしっかりと下支えしている。家族の一員のように大切に扱い、直し直し使ってきた。

「この自動ブラシ機は祖父の代から使っています。スポンジがクッションの部分が劣化でボロボロになるのでその都度修復したり、はかりが故障して交換したりしながら大切に使ってきました。夫は小さい頃から祖父の手伝いをしてきたので、毎年スイカの時期になるとこの自動磨き機を出してスイカの選別作業をしてきました。祖父との思い出が詰まった大切な品です。見た目はボロボロになってしまいましたが、まだまだ現役で頑張ってくれているのでこれからも大事に使っていきます」

投稿は大反響で、1.5万件以上のいいねを集めている。「すげー、スイカ磨く機械なんて存在したのか…」「スイカって出荷前に磨いたりするんですね 初めて知りました」「想像以上にボロくて可愛い!」「こんな手間が!ありがとうございます!」「すごい! 実際に食べる機会は少ない皮の部分まで磨く。夏の風物詩として、食べる以外の価値もお届けしてる」「いつまでも元気で動いて欲しいですね!」など、驚嘆の感激の声が続々と寄せられている。スイカを磨くための農業用機械があることを今回の投稿を通して知った人も多そうだ。

スイカの収穫時期が本格化しており、汗を流す忙しい日々だ。農家のヨッメさんは「投稿をきっかけにたくさんの方に興味を持っていただき、うれしく思います。スーパーに並ぶ野菜やフルーツは、収穫後も選別や調整などの手間がかかっています。消費者の皆様へ安心安全でおいしい野菜を届けるための私たち農家の取り組みや、農業の魅力がたくさんの人に伝わるように、これからも積極的に発信していきたいと思います」と前を見据えている。ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム

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