「70で収まったなという感じ」 松山英樹の流れを変えた一打

松山英樹は首位と5打差の5位タイで最終日へ(撮影:ALBA)

<全米オープン 3日目◇15日◇パインハースト・リゾートNo.2(米ノースカロライナ州)◇7548ヤード・パー70>

3打差の8位から出た松山英樹は4バーディ・4ボギーの「70」。全体平均ストローク『73.180』のムービングデーに、首位と5打差の5位タイに耐えた。

警報アラートが出る猛暑のなか、午後3時2分にティオフ。1つ落として迎えた3番は実測316ヤード。同組のマチュー・パボン(フランス)は先にアイアンでのレイアップを選択したが、松山は前の組がホールアウトするのを待った。ドライバーを振り切ってグリーン右奥まで運ぶと、寄せワンのバーディ。歓声を引き出したが、これが前半では唯一のバーディとなった。

4番ではティショットを右サイドの砂地のギャラリーパスまで曲げてボギー。最も易しい5番パー5も同じようにティショットが左に出てしまい2打目以降でカバーしきれず、パーを拾うしかなかった。

7番で3パットのボギー。9番パー3では花道から寄せてパー、10番パー5では3打目のアプローチが傾斜に戻されて同じ場所から寄せてパー。ずるずると後退してしまいそうな雰囲気を耐えていくと、ここで流れを変える一撃が生まれる。

11番でドライバーのティショットは「ミスがたまたま。風が右から来ていてそのおかげ」とフェアウェイに運ぶと、2打目は残り158ヤード。これをピン右1メートルにつけた。「きょう初めてのいい当たりがした。それが結果につながったので、気分よく次のホールにいけた」。らしいショットで魅せると、12番も残り185ヤードから手前2メートルにつけて、フックラインを決めた。

上5メートルが決めきれなかった13番のパーを挟んで、14番は手前2.5メートルにつけてバーディ。前半の借金を取り返す。「きのうに比べてショットもパットも、ショートゲームも全然思うようなフィーリングが出なくて苦しみましたけど、後半にあの2つが獲れたのはよかった」。

最終18番ではティショットを左に曲げ、ボールが松ぼっくりの下に潜り込んだ。それを取り除くことはできず、出すだけとなったのち、バンカーから寄せきれずにボギー締め。イーブンパーに終わったが、「内容からしたら『70』で収まったなという感じ」。ボールの位置を確認しようと早藤将太キャディが松山より先を走ることも少なくなかったが、「ちょっと太っているので痩せさせないと」という言葉が飛び出したことを考えても、決して悲観的な一日ではないことがうかがえる。

最終日は頭一つ抜け出したブライソン・デシャンボー(米国)を追いかける。「いいプレーをしているからそのスコアが出ていると思う。自分ができることをあしたして、結果がどうであれ、いいプレーができるように頑張りたい」。耐えた一日が、逆転でのメジャー2勝目に望みをつないだ。(文・笠井あかり)

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