これってレガシー?

 「レガシー」が新語・流行語大賞の候補になったのは2016年のこと。遺産を指すこの英語は小池百合子都知事が東京五輪・パラリンピックで広め、「後世に伝わる優れた業績」の意味で使われることが多い▲最近、県や佐世保市もよくこの言葉を使っている。国が不認定にしたハウステンボスでのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)計画に絡めて、例えば「IRのレガシーをさまざまな形で次につなげる」(宮島大典市長)といった具合▲都知事選の渦中にある小池知事は競技場整備を含め「多くのレガシーを残した」と胸を張った。門前払いされたIRもレガシーです、と似た感じで当てはめるのはやっぱりピンとこない▲市によると「IRを通じて深まった九州の経済団体などとの関係性は今後に生きる」から使っているらしい。なるほど。無形のレガシーも確かにあるだろう。そのつながりから国際的な自転車ロードレース誘致の話もあると聞く▲でも関係性は現在進行形なので先は分からない。失言一つで取引停止-は民間企業ではよくある話。そうならないようこの関係をより固いものにできれば▲レガシーには「時代遅れのもの」との意味もある。「IRは負の遺産」とレッテル張りされる前に、早く地域が元気になれる代わりの一手を見つけたい。(竹)

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