しぼむオレンジジュース市場 産地不作に円安…値上げや販売休止相次ぐ中、国産果汁への注目高まる

果汁100%ジュース売り場では、オレンジジュースの存在感が薄れている=鹿児島市高麗町のAコープキラメキテラス店

 オレンジの原産国ブラジルなどの不作に加え記録的な円安の影響を受け、国内でオレンジジュースの値上げや販売休止が相次いでいる。帝国データバンクによると、濃縮果汁1リットルあたり300円前後で推移していた輸入価格は、今年3月には2倍以上に高騰。鹿児島県内のスーパーや専門店は、別商品で埋め合わせたり利益率を下げたりと対応に苦慮する。一方で、代替として国産品の引き合いが強まっている。

 Aコープキラメキテラス店(鹿児島市)では、果汁100%ジュースを並べる売り場から、オレンジジュースが存在感を消している。通常は10種類そろえていたが、メーカーの販売休止で現在は半分に。リンゴやミカンなどのほか、生野菜高騰で好調な野菜ジュースで棚を埋める。

 オレンジジュースの仕入価格は上がり続ける。中でも1リットル300円弱だった商品は現在、500円近くに値上げした。堀之内和喜店長(49)は「これ以上高くなると買ってもらえなくなる」と買い控えを警戒する。

 南九州ファミリーマート(同市)でも状況は同じだ。果実系ジュースで売り上げ上位だったオレンジ系の270ミリリットル入りパックは106円から149円への値上げで、売上数量は2割減った。オリジナルブランド「ファミマル」のオレンジ100%ジュースは、ミカン果汁を配合した上で商品名も変更、6月中旬に値上げへ踏み切る。

 オレンジ自体も高い。店頭で果実を搾り、こだわりのスムージーなどを販売する同市の「thy(ジー)鹿児島」は、これまで50玉で5000円ほどだった仕入れ値が1万円近くに高騰した。ただ、客離れなどを恐れ価格転嫁は見送る。原園大店長(45)は「青果が軒並み値上がりしている。割に合わない」と漏らす。

 一方で、オレンジ不足により国産果汁に目が向けられている。ミカンジュースを手がけるフレッシュ吹上黒川農園(日置市)では、最近になり百貨店などからの問い合わせが相次ぐ。黒川裕司専務(35)は「ジュースの詰め合わせのようなギフト商品が減っているのではないか」と推測する。

 鹿児島や熊本県産のかんきつ類でジュースを製造するJA熊本果実連(熊本市)の担当者は「今年に入ってから果汁を売ってほしいという問い合わせが増えているが、簡単に増産できずなかなか対応できていない」と話した。

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