豪中銀が政策金利据え置き、再利上げ排除せず インフレなお警戒

[シドニー 18日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は18日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを市場の予想通り12年ぶり高水準の4.35%に据え置いた。据え置きは5会合連続。

インフレの上振れリスクを踏まえ利上げの是非を議論。最終的には据え置きを決定し、利上げへのハードルが依然高いことが示された。

インフレの抑制に必要であれば追加利上げを排除しないと改めて表明。声明文で「最近のデータはまちまちだが、インフレ上昇リスクに引き続き警戒する必要があることが再確認された」と指摘した。

直近のインフレ率は3.6%で、中銀の目標値をなお大幅に上回っている。

ブロック総裁は政策会合後の記者会見で「インフレ率を2─3%の目標範囲に戻すには、道のりはまだ長い」と述べた。

豪ドルは0.6622米ドルと0.1%上昇。市場は再利上げの可能性を織り込んでいないが、早ければ12月にも利下げが実施される確率が、声明発表前の65%から44%に低下した。利下げが完全に織り込まれているのは2025年4月か5月以降となっている。

ブロック氏は、最近のデータはインフレに警鐘を鳴らしていると述べたが、利上げの根拠が強まっていることを自動的に意味するものではないとも説明。理事会は「潜在的な(インフレ)上昇リスクを警戒しているという点を強調したかった」とした。

<足元のリスクは再利上げ>

AMPのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏は「短期的なリスクは依然として再利上げに偏っている」とし「最新の経済見通しが発表される8月会合が極めて重要になる。4─6月のインフレ率が上振れした場合、利上げの可能性も出てくるのではないか」と述べた。

4─6月のインフレ統計は、8月5─6日の理事会直前の7月31日に発表される。

前回会合以降に発表された経済指標はほぼ予想通りの結果となった。豪経済は前期比で0.1%の成長にとどまり、賃金の伸びは15年ぶりの高水準から鈍化した。また、労働市場は緩やかなペースで緩和を続けた。

インフレの粘着性は続き、4月には5カ月ぶり高水準となる3.6%に達した。一方、電気料金などを対象にした政府の生活費軽減策が下半期の総合インフレ率低下につながると期待されている。

オーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)とナショナル・オーストラリア銀行は、自社の11月利下げ予想へのリスクを指摘。

CBAのオーストラリア経済担当責任者ガレス・エアード氏は、「中銀は再び利上げを行うことを望んでいない。しかし基調的なインフレ環境が厳しく、労働市場の緩和ペースも予想より緩やかなことを踏まえると、11月の利下げに向けた道筋は狭くなりつつある」と指摘。「われわれの予想に対するリスクは、緩和サイクルの開始時期が遅くなる方向に傾いている」と語った。

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