「ここしかない」ソフトバンク大津亮介を8回続投させた首脳陣の決断 「新たな一面を見られた」最多115球で得た勝ち星の意味

8回無死、ロッテ・上田を空振り三振に仕留め、気迫の表情の大津(撮影・穴井友梨)

◆ソフトバンク3―1ロッテ(22日、みずほペイペイドーム)

ソフトバンク先発の大津亮介投手(25)が、プロ最多115球の熱投を見せ、5勝目を手にした。味方が同点に追い付いてマウンドに立った8回には2番上田、3番ポランコ、4番ソトを三者連続三振に打ち取る場面も。倉野信次投手コーチも「気持ちも体も一致したすごくいい投球だったと思います」と評価した。

前回登板だった12日のヤクルト戦(みずほペイペイドーム)では、思うような投球ができなかった。村上に3ランを許すなど5回7失点。小久保監督からも「打てるもんなら打ってみという気持ちをバッテリーが持っていたかはすごく気になった」と厳しい指摘を受けた。そこから中9日でのマウンド。「自分が損しない投球を見せようと闘争心むき出しで全力で8回まで投げました」と、毎回のように走者を背負うも粘り強い投球で失点は初回の1点だけにとどめた。

この日は試合前からいつも以上に気合いを入れていた。倉野コーチも「(ブルペンから)表情も違いましたし、力の入れ方も違った。ちょっと僕が心配になるくらい力入っていた」というほど、それくらい前回登板は悔しいものであり、首脳陣のこの試合の大津の成長に期待していた。そんな中、8回1失点としっかりと仕事を果たし、「前回の反省をどれだけ生かしてくれるかを見ていたので、そういった点ではよかったなと。新たな大津の一面というか、ここからもっと成長できていくんだろうなという姿を見せてくれたのが今日はよかった」と、倉野コーチは少し安心した表情。大津も「自分的にはほんとにいいリセットになった。また開幕の気持ちでスタートしようというリセットにもなった」と清清しい表情だった。

また、100球を超えながらも8回の続投を決断した理由について、倉野コーチは「いつまでもゆとりじゃないですけど、余力を残したまま交代しているとこの後の伸びがないと思ったので、ここしかないというタイミングで。(小久保)監督も同じ意見だったので、続投になりました」と説明。大津も「8回はホントに気合で、全力で投げて、チームを勢いづけるって強い気持ちでマウンドに上がった」としっかりと期待に応えてみせた。

貯金は最大の「24」となったが、まだシーズン中盤で油断はできない。4年ぶりリーグ優勝に向けて、この右腕の成長は頼もしい。(大橋昂平)

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