「最後まで責任を持ってほしい」保護ネコの半数は殺処分〈仙台市〉

飼い主がいないネコの現状と対策についての取材です。昨年度、仙台市内では飼い主のいないネコが255匹保護されました。この猫の中には、新しい家族に引き取られるネコもいますが、一方で、半数近くの109匹が殺処分されました。1匹でも多くの命をつなぐために、模索が続いています。

6月15日、仙台市の動物管理センターで、今年度初めてのネコの譲渡会が開かれました。センターでは随時、ネコの譲渡を行っていますが、より多くの人に見てもらおうと定期的にこうした譲渡会も開いています。

高橋咲良アナウンサー
「可愛らしい鳴き声が聞こえていますが、今日の譲渡会には11匹の猫が参加しています。子猫もいますがメインは1歳以上の成猫です。こちらのロッテちゃん、とても落ち着いていてくつろいでいます」

譲渡会では抱いたりエサを与えたりたりして、ふれあいながら引き取るかどうかを決められます。

名取市から
「少し前に飼っていた子(ネコ)が亡くなってしまって。特別、ペットショップとか譲渡会とかこだわりは無くて。こういう所でも出会いがあればいいなと思って」

こちらの人は、悩んだ末に1匹を引き取ることに決めました。譲渡するにあたっては引き取り先が賃貸の場合、ペットを飼えるかや、家族が65歳以上のみで構成されていないかなど、綿密な確認が行われます。これも、センターに戻ってきてしまうネコを減らすためです。

高橋咲良アナウンサー
「今どんなお気持ちですか?」

名取市から
「こんなに可愛い子が、すぐ見つかると思わなかったのでうれしいです」

今回の譲渡会では5匹の譲渡先が決まり、新しい家族へと引き渡されました。

引き取ることを決めた人(夫婦・太白区から)
「地域の捨てられたネコに手を差し伸べられるのも意義としてあると思うので」
「みんなで世話をして楽しく暮らせたら」

高橋咲良アナウンサー
「こんにちは~!今日はよろしくお願いします」

去年11月に、動物管理センターで保護ネコを引き取った夫婦のもとを訪ねると、のびのびと幸せそうに暮らす2匹の姿がありました。おっとりした性格の「みことくん」と、好奇心旺盛な「ちとせくん」です。見た目も、性格も違いますが、とっても仲の良い兄弟ネコだそうです。

高橋咲良アナウンサー
「名前にはどんな思いが?」

高田淳さん
「妻が色々な意味を…」

高田頌子さん
「長生きするようにと思って」

生後10日ほどで動物管理センターに保護されたという2匹。妻の頌子さんが実家で保護ネコを飼っていたことから保護ネコを引き取りたいと考えたと言います。

高田頌子さん
「飼い主がいないネコがすごく多いというのを、実家の経験から知っていたので、飼い主を探しているネコを引き取りたいと思っていました」

こちらは、過去7年間に、仙台市動物管理センターに保護されたネコの数の推移です。実は保護されるネコの数は年々減っていて、おととしは250匹と過去最も少なくなっています。

この背景の1つに、仙台市が定めた条例があります。仙台市では誰もがネコと共生できる社会を目指して2020年4月に条例を制定しています。条例にはネコを屋内で飼うことや不妊去勢手術をするといった、飼い主の責任などが定められています。

仙台市動物管理センター アニパル仙台 釜谷大輔所長
「条例ができて、市民の意識も高まってきているっていうのと、飼い主への適正な飼育の啓発をして、さらに減少に繋がっていると思っています」

一方、こちらは保護されたネコのうち譲渡されたネコの数です。割合でみるとほぼ横ばいで変わりがないのが現状です。また、保護されても、大きなケガや病気の場合譲渡の対象とはならず処分となってしまいます。さらに、交通事故などで死んだ飼い主不明のネコは毎年1500匹以上と処分されるネコの10倍を大きく超えています。こうしたことから、仙台市の条例では、飼い主の責任だけでなく、飼い主のいないネコへ無責任にエサを与えないなど一般市民の役割も定めています。

動物管理センターの釜谷所長は、センターとしては保護されるネコの数をゼロに近づけたいと話します。

仙台市動物管理センター アニパル仙台 釜谷大輔所長
「すでに飼っていらっしゃる方は、最後まで責任を持って大切に飼っていただきたい。望まれない命っていうのが、こちらの方に来る数、収容数をゼロに近づけていきたいっていう部分が強い。それを持って処分も減っていければいい」

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