解禁目前のアユ漁がピンチ 「経験ない」水不足でやせ細る…広瀬川の現状は〈宮城〉

7月1日にアユ漁が解禁されます。毎年解禁初日から多くの愛好家が集まるアユ漁ですが、今年は河川の水不足で影響が懸念されています。

東北地方の梅雨入りが発表された6月23日の広瀬川。

広瀬名取川漁業協同組合 宍戸宗 代表理事組合長
「私も何十年と経験してきているけど、こんなに渇水していることはないね。大変です、これは」

長年、広瀬川を見守ってきた広瀬名取川漁協の宍戸組合長です。

広瀬名取川漁業協同組合 宍戸宗 代表理事組合長
「50ミリ降れば良いと思っている。でも、きょうは20~30ミリしか降らない。(渇水の改善は)期待できないね」

実際にこの日の仙台の降水量は24ミリ。
仙台河川国道事務所によりますと、太白区の広瀬橋付近の広瀬川の水量は取材した23日、毎秒0.4トン。25日午前9時時点で毎秒0.9トンと、渇水の判断基準となる毎秒1.0トンを下回ったままです。
河川の渇水で心配されるのが、7月から解禁されるアユ漁です。

記者リポート
「例年この時期にはアユが遡上しているこちらの場所も、今はまったく水が流れていません」

広瀬橋近くにある堰は、川の上流に向かってアユが遡上する場所。現在は河川の水量が少ないため、水の流れが止まっています。

広瀬名取川漁業協同組合 宍戸宗 代表理事組合長
「やっぱり水がないとコケが育たない。アユはコケを食べて育つ。それがないと人間がご飯を食べられないのと同じ。でも食べたくたって(コケが)ない。そういう状態だからアユが痩せている」

実際に今年と同じように渇水が指摘されていた11年前、2013年はー。

アユ釣りをしていた人
「ダメ。釣れねえ」「(アユが)細い」「大きさも全然。やせこけている。食べ物が足りないんだろうね」

サイズが小さくやせ細ったアユ。アユが食べるコケは川の水がきれいな場所に生育しますが、渇水によって水の流れが悪くなり、水質が低下。水質が下がることでコケが生えなくなり、食べるものがないアユがやせ細ってしまうといいます。
エサであるコケがなくなると産卵をすることもできず、来年のアユ漁にも影響を及ぼす恐れもあります。

広瀬名取川漁業協同組合 宍戸宗 代表理事組合長
「今年はアユがたくさん遡上してきて喜んでいた矢先にこう(渇水に)なるのは、本当に残念ですね」

アユ漁の解禁は来月1日。仙台河川国道事務所は「日曜の雨で少し回復したものの、雨は続かない予報のため予断を許さない状況が続いている」としています。

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