新築か増改築が一転、施設改修案 福井県大野市の文化会館、市方針に検討委驚き「寝耳に水」

大野市文化会館

 2026年6月に耐用年数を迎え休館する福井県大野市の市文化会館について、市は6月議会で、同会館のあり方検討委員会が進める新築、増改築の計4案の議論を踏みとどまり、既存施設を改修する代替案を検討委に示す方針を示した。背景には、避けられない人口減少や財政負担などがある。一方、検討委らからは「寝耳に水」と驚きの声が上がり、一部の市民からは新設を求める署名活動の実施に向けた動きが出ている。

 「既存施設に音響や照明設備を強化する代替案を検討委に提示し、検討していただくよう求めたい」-。6月3日の市会一般質問。石山志保市長はこう答弁し、4案の概算事業費などを比較した最も安価な案でも「市の財政負担になる」と説明した。

 大野市は、来年度にかけて小中学校やごみ処理施設の大規模改修工事を抱える。石山市長は5日の市会常任委員会でも「人口減少対策や市民生活に必要不可欠な基本インフラの維持、社会保障関係費など今後見込まれる財政需要の増大などを総合的に考慮した」と改めて強調し「文化芸術活動に親しむ機会を提供できるよう代替案を検討していただきたい」と理解を求めた。ただ、4案の概算事業費などは4月末に検討委に示されたばかり。それだけに、市議や検討委からは、困惑や驚きの声が上がった。

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