長崎大と福島3大学が連携し人材育成へ 復興支援オンラインセミナー 放射線災害の影響学ぶ

放射線災害の影響について語る高村教授=ビデオ会議アプリ「Zoom」によるオンラインセミナーの画面

 長崎大は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興を支援しようと、東日本国際大など福島県内の3大学と連携し、災害・被ばく医療や復興に携わる人材を育成するオンラインセミナーを9、10月に計5回を開く。初回は6、7日にあり、福島や東京などの学生、教員ら39人が放射線災害の影響と復興の取り組みを学んだ。
 セミナーは、福島の復興を支援する「長崎大福島未来創造支援研究センター」が主催。国が被災地の産業拠点化を目指す「福島イノベーション・コースト構想促進事業」の一環で、東日本国際大、国立福島大、福島県立医科大と連携する。
 7日は、長崎大原爆後障害医療研究所の高村昇教授ら3人が講義。高村教授は放射線被ばくと健康影響について「最も大切なことは被ばく線量を推定評価すること」と指摘。疫学調査を踏まえ「100ミリシーベルトを下回る放射線被ばくによるがんのリスクの上昇は認められていない」と説明した。
 原発事故で一時全村避難した福島県川内村は、2013年4月に長崎大と包括連携協定を結び、放射線量の評価や健康相談などで支援を受けている。遠藤雄幸村長は8割の住民が戻った村の現状と課題を報告。長崎大の支援は「復興に大きな力になった」と述べた。
 川内村で支援活動をしている長崎大の折田真紀子助教は、一時全町避難した富岡町でも17年4月から活動している現状を報告。避難先から戻っていない住民に対しても残留放射線量などの情報を提供し、意見交換することが重要ではないかと語った。
 ワークショップもあり、原発事故に伴う除染で出た汚染土壌の処分方法について意見を交わした。
 最終の5回目は、10月13~17日に国際セミナーを開き、ロシア、ベラルーシ、韓国、台湾などの学生が参加する。

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