島原市『家庭ごみ減量目指す』 分別呼び掛け処理費を削減

島原市の燃やせるごみ量の推移

 長崎県島原市は2020年度、生ごみなど家庭から出る可燃ごみ削減を目指す「4万人のごみ減量プロジェクト」に取り組んでいる。1人1日当たりの排出量を850グラム(18年度比約17%減)にすることを目標に掲げ、市民向け出前講座などを積極的に開催。ごみのたい肥化やリサイクル可能な資源物の分別を呼び掛け、年間9千万円の処理費用軽減を目指している。

 島原半島3市(南島原市は布津、深江両町)と諫早市の可燃ごみ処理は、4市でつくる県央県南広域環境組合が担う。東部(島原市)、西部(雲仙市)の両リレーセンターに集めて圧縮後、県央県南クリーンセンター(諫早市)に運び焼却処分している。
 島原市環境課によると、詳細に比較できるデータがそろう18年度、同市の排出量は、1万6791トン(1日当たり約46トン)。処理費用として約6億1千万円の税金が投入され、市民1人が負担する額は約1万3500円に上る。
 1人1日当たりの排出量を4市別に見ると、南島原市が876グラムで最も少なく、雲仙市897グラム、諫早市919グラムと続き、島原市が1025グラムで最多。
 千グラムを上回るのは同市だけで、近年は高止まり傾向が続いているという。「比較的市域が狭く市街地が多い島原では、生ごみを畑に返す人やそのための土地が少ないためでは」(同課職員)とみる向きもある。
 一方、年間の排出量は減少傾向にあるが人口も減っているため、1人当たりの量では大きな変化はなく横ばい。ここ5年ほどで唯一、年間排出量が増加に転じた18年度は、最終処分場の延命化を図ろうと、プラスチックごみを可燃処理に変更したことが要因で、翌年度には再び減少した。
 可燃ごみは、紙・布類約40%と生ごみ約35%で全体の8割程度を占める。そのため、同市ではこの2種類の削減に着目。出前講座などでは「ごみの中に紛れてしまいがちな雑紙を正しく分別すれば、資源に生まれ変わる」「生ごみは8割が水分。しっかり水切りすることで燃えやすくなり、焼却施設の燃料費が節約できる」などと説明し啓発を進める。
 本年度の実績として、8月が966グラム、9月は997グラムと千グラムを下回る成果が表れている。吉本昇課長は、減量化による財政負担の軽減のため「一人一人が身近にできることを意識して、協力してほしい」と呼び掛けている。

出前講座で、資源物の分別を呼び掛ける市職員(手前2人)=島原市有明町、有明保健センター

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