開門確定判決と請求異議訴訟

 有明海沿岸の漁業者が潮受け堤防排水門の常時開門を求めた訴訟で、福岡高裁は2010年12月6日、国に「3年猶予後、5年間の開門」を命じた。当時の民主党政権、菅直人首相が同21日、上告を見送り、判決が確定。しかし、国は地元の反対などを理由に、13年12月20日の履行期限までに開門しなかった。
 国は14年1月、開門確定判決の履行を強制しないよう、開門派漁業者側に求める請求異議訴訟を佐賀地裁に提起。1審は国が敗訴。2審福岡高裁は「10年更新の漁業者の共同漁業権満了に伴い、開門請求権が消滅」として、国が逆転勝訴したが、最高裁は昨年9月、2審判決を破棄、福岡高裁に差し戻した。
 今年2月から始まった差し戻し審は、開門確定判決で認定された「諫早湾近傍部の漁獲量の減少」を巡り、「増加傾向に転じた」とする国と、「漁獲物の質」を問う開門派漁業者側との間で主張が対立している。


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