釣り客マナーに住民嘆き…改善しない「ごみ問題」 長崎・野母崎地区

© 株式会社長崎新聞社

地域のコンビニには釣った魚やオキアミなどが捨てられ、ごみ箱には投入口をふさぐように注意書きが貼られている=長崎市内

 多種多様な魚が生息し長崎県内外から多くの釣り客が訪れる長崎市野母崎地区。コロナ禍による釣りブームや会員制交流サイト(SNS)の影響で釣り客が増える中、地域住民らはごみの放置など釣り客のマナーの悪さに頭を悩ませている。行政も以前から問題を把握しており、複数の看板を設置するなど対策を取っているが、状況は改善していない。県内の愛好家でつくる県釣り団体協議会は「地道な活動が必要」として、釣り人や子どもへの教育など啓発を続けている。

 昨年11月下旬、同地区のコンビニ店内に磯の独特の臭いが漂った。店の入り口に設置されたごみ箱からは4匹ほどの釣られた魚と、餌に使うオキアミなどがまとめて捨てられていた。野母崎地区で大物が釣れた様子が動画投稿サイト「ユーチューブ」に上がり、釣り客が増えた時期だった。
 翌日、店員はごみ箱に「おきあみ、その袋、釣った魚、釣り針 おことわり」と記した注意書きを、投入口をふさぐように貼った。以前からの注意の紙は無視されることが多く、破られることもあったため今回はラミネート加工した。
 同店ではこれまでも、店員がごみの分別をする時に、捨てられた釣り針でけがをしたり、魚の血が混ざった液体が駐車場に垂れ流されたりすることが度々あった。ある店員は「なぜ手をけがして、臭い思いをしてまで私たちが釣り客のごみの処理をしなければならないのか。勘弁してほしい」と訴える。
 釣りをする人で連日にぎわう野母崎樺島町の大漁橋。人目に付かない深夜に釣りをする人も多く、片側一車線の道路に車を止める人もいる。周辺に捨てられるごみは釣り関連の物だけでなく、空き缶やたばこなどさまざま。中には用を足して放置していく人もいるという。
 近くに住む自営業の70代男性は「車が通っても竿を投げるので、大漁橋を運転する時はゆっくり走らせないと怖い」とこぼす。
 近くの自営業、菅原真希さん(35)は日頃から周辺のごみ拾いに取り組むが、「犬の散歩ついでに拾えるような量じゃない」。拾っても次の日には別の物がまた捨てられることの繰り返しという。
 菅原さんはこれまでに、地域の子どもへの教育やSNSでの発信、市内の複数の釣具店や県、市に問題提起する文書を送るなど、ごみ問題解決に向けできることに取り組んできたが「どうしたら根本的な解決につながるか、いつも悩んでいるが本当に分からない」と嘆く。
 行政も釣り客の問題を把握しており、県や市、樺島連合自治会は「ごみを捨てないで」などと書かれた看板を大漁橋周辺に複数設置している。だが、改善に至っていないのが現状だ。
 釣り場環境の整備や釣り文化の普及に取り組む県釣り団体協議会の小川敏朗会長によると、野母崎地区で釣りをする人は多く、約250人いる会員に「自分のごみの3倍」は拾って帰るよう呼び掛けている。釣具店の店主らも加入する同協議会。地域住民の苦情を聞く窓口にもなっており、子ども向けの釣り教室開催や釣り人への指導、清掃活動などに取り組んでいる。

釣り客で連日にぎわう大漁橋には、ごみを捨てないよう看板が設置されているが、近所住民らはごみの問題に頭を悩ませている=長崎市野母崎樺島町