消費・観光下振れ続く 長崎県内1~2月 判断据え置き 日銀長崎支店

 日銀長崎支店が17日発表した1~2月の県内金融経済概況は「緩やかに持ち直しているが、足元では新型コロナウイルス感染再拡大の影響がみられている」との景気の総括判断を据え置いた。新規感染者数が落ち着いたものの、サービス消費や観光の下振れは続いており、前回(昨年12月~今年1月)からの判断引き上げは見送った。
 下田尚人支店長は会見で、今後について「このまま全国的に感染状況が落ち着けば、県内の個人消費と観光は持ち直し、結果として県内景気全体も改善軌道に戻る」との見通しを示した。
 個人消費は全体として徐々に持ち直しているが、足踏み感が見られる。このうちサービス消費は下押し圧力が強い。外出自粛要請を受け、小売店・娯楽施設(レストランやショッピングセンター、テーマパークなど)の人出が、昨年春の感染第1波ほどではないが、昨年夏の第2波と比べると大きく減っている。一方、物の消費は暖房・空調・調理器具など巣ごもり消費が依然堅調。1月の乗用車新車登録台数は前年を上回った。
 観光は落ち込んだ状態となっている。昨年12月の主要ホテル・旅館宿泊者数や主要観光施設入場者数は、前年比マイナス幅が拡大。ビジネス利用が下支えしているが、全国で停止している政府の観光支援事業「Go To トラベル」の再開までは、大きな改善が見込めないという。
 生産は電子部品・デバイスを中心に「持ち直している」との判断を維持した。機械・重電(原動機、大中型モーター、冷熱機器)や大手中堅造船は横ばい圏内で推移している。
 佐世保重工業(SSK、佐世保市)が来年1月で新造船事業を休止する問題について、下田支店長は「県内製造業全体の生産額に占めるウエートを考えると、県内経済に大きな影響を及ぼすまではない」と予想。250人の希望退職を募る点については「これまで培った技術を最大限活用できる再就職先を円滑に提供することが経済的に望ましい」とした。

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