【阪神大賞典】ディープボンドが距離を味方に5馬身差の圧勝 和田竜「阪神の3000メートルで勝てたのは大きいですね」

和田竜=ディープボンド(左)は5馬身差の圧勝で春の天皇賞に駒を進める

天皇賞・春の前哨戦となるGⅡ阪神大賞典(阪神芝内3000メートル)は、3番人気のディープボンド(牡4・大久保)が後続に5馬身差の圧勝。一方で断然人気だったアリストテレスは7着に敗れた。レース前に雨こそあがったが、重馬場という異質な芝状態で行われた長丁場にいったい何があったのだろうか?

「道悪がどうかと思っていたけど、前が引っ張って理想的な流れになったし、スタミナも豊富な馬。道中もうまく息も入って、手応えも良く強い競馬をしてくれました」

引き揚げてきた和田竜は充実の表情でレースを語った。

そのディープボンドは一番いいスタートを切ったが、行きたい馬を行かせて好位の4番手から。道中はリラックスしたフォームで追走する。逃げたツーエムアロンソが向正面で離しにかかっても、慌てることなく自分のリズムで運んで3角過ぎから徐々に差を詰める。直線入り口では前を射程圏に入れ、鞍上がゴーサインを出すとしっかり反応して直線半ばで先頭へ。終わってみれば2着に5馬身差の完勝だ。

「前走の中山金杯(14着)はふがいない競馬で迷惑をかけてしまったけど、長距離戦は走る馬。3歳時に強い競馬をしてきた馬だし、体調も良く自信を持って乗りました。体も増えて強い調教にも耐えられるようになった。阪神の3000メートルで勝てたのは大きいですね」

次走予定の天皇賞・春(5月2日=阪神芝3200メートル)向けて、和田竜の言葉が弾む。

27日のドバイワールドCに出走するチュウワウィザードのため大久保調教師はこの日、出国で成田空港へ。留守を預かる谷口助手は「以前は背中しか使えないような感じだったけど、今はトモに蹴る力がついて馬がパンとしてきた。休み明けよりもひと叩きしたほうがいい馬だし、次はもっと良くなりそう」と笑みが絶えない。

この後は放牧を挟んで大一番を迎える。GⅡフィリーズレビュー(シゲルピンクルビー)に続いて2週連続の重賞勝利となった和田竜は「大きいレースで結果を出せてホッとしている。これからGⅠがあり、それに向けて前哨戦を2つ勝てたというのは励みになります。お客さんが来て応援してくれていますし、また競馬を盛り上げていきたい」と締めくくった。

特殊な馬場でのレースではあったが、アリストテレスから天皇賞・春の主役の座を一気に奪い取るような勝ちっぷりだったのは事実。主戦の和田竜もディープボンド自身も上げ潮ムードで古馬の頂上決戦に挑む。

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