”コロナ休館”を活用 再開見据え、サービス向上 長崎市有の文化観光施設

研修で学んだことを生かし場内の説明をするスタッフ=長崎市、出島和蘭商館跡

 新型コロナウイルス感染第4波に伴い、4月28日から今月7日まで休館が続く長崎市有の文化観光施設。人波が消えたそれぞれの施設では、再開後を見据え、より細やかなサービスで客を迎えようと、スタッフの研修や施設のメンテナンスに取り組んでいる。
 「蔵にはそれぞれ花の名前が付いています」「足元にお気を付けください」。5月28日午後、長崎市出島町の国指定史跡「出島和蘭商館跡」。総合案内所のスタッフが、上司らを客に見立て、丁寧に説明をしながら場内を巡った。
 スタッフは、施設管理者で、長崎自動車を中核とする「出島VOF」の社員。ホテルレベルの接客で客をもてなそうと、本年度初めて、長崎バスグループのホテルから8人が出向し、受け付け・案内を担当している。配属から約1カ月。券種を覚え、少しずつ業務に慣れたところで休館になった。
 この期間を活用し、出島VOFは再開に向けてサービスレベルを上げようと、研修や防災訓練を実施。8人は歴史スタッフとともに学芸員から出島の歴史について学んだほか、会員制交流サイト(SNS)を活用した情報発信方法やイベント案、券売機を導入した場合の課題などを探るグループワークにも取り組んだ。
 28日は長崎自動車の嶋崎真英社長ら幹部を客として案内。イベント案なども披露した。リーダー格の茂田マリさん(33)は「休館中に学ぶ時間ができてよかった。質問に自分の言葉で答えられるようこれからも勉強をしていきたい」と笑顔。高井良肇所長は「知識を深掘りできた。サービス向上につながると思う」と効果に期待を込めた。
 このほか、グラバー園もスタッフの研修を実施。SNS発信用に園内の写真を撮りためるなど、再開へ向けた準備を進める。長崎原爆資料館は館内のスロープを修繕。正面入り口に日差し対策の天幕を設置した。

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