雲仙大火砕流30年 オンラインでマスコミ集会 取材者守り、住民を安全に

オンライン形式で災害報道の在り方を考えた「雲仙集会」

 30年前の雲仙・普賢岳噴火大火砕流惨事を教訓に、災害報道の在り方を考える「雲仙集会」(新聞労連、長崎マスコミ・文化共闘会議など主催)が5日、オンライン形式で始まった。初日は「報道関係者の安全確保」をテーマに全国の新聞、放送局の約80人が現場での行動判断などについて意見を交わした。
 大火砕流の犠牲者43人のうち16人が報道関係者。集会は、体験を風化させないよう災害翌年の1992年から毎年、計10回開催。20年目の2011年に続き、今回も節目に企画した。
 普賢岳災害を取材した谷原和憲・日本テレビ放送網報道局ニュースセンター専任部長は、避難勧告区域内で報道陣の存在が住民の危機意識を希薄にしたと指摘。「報道陣の取材位置が住民にとって(安全かどうかの)目安になっていた。『見られている』という意識が足りなかった」と振り返り、「取材者を守ることは住民の安全にもつながる、という視点が雲仙で得た教訓だ」と訴えた。
 現地取材デスクを当時務めた橋場義之さん(元毎日新聞編集委員)は「あれだけ危険性を記事で訴えながら、自分たちの避難には生かせなかった」と後悔の念を示した。その上で「災害対応の成功と失敗の経験を蓄積し共有すれば、取材時の有益な情報になる」と述べた。
 6日はシンポジウム「被災地を忘れない(長期取材の視点)」などを開催する。

© 株式会社長崎新聞社