市川森一さんの顕彰碑建立へ 没後10年 募金呼び掛け

市川森一さんの顕彰碑イメージ図(建立委提供)

 数々の名作を世に送り出した長崎県諫早市出身の脚本家で、古里諫早や本県の文化振興にも尽力した市川森一さん(1941~2011年)の業績をしのぶ顕彰碑の建立を没後10年となる今年、諫早の文化、芸術関係者らが中心になって計画している。11月27日の「森一忌」に合わせ除幕する予定。関係者は「市川さんに続く文化人が育つことを願い、諫早の文化・芸術のシンボルにしたい」とし、800万円を目標に募金への協力を呼び掛けている。
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 市川さんは県立諫早高を経て日大芸術学部に進学。卒業後、脚本家としてデビューし、ウルトラマンシリーズやNHK大河ドラマ「黄金の日日」、諫早を舞台にした「親戚たち」などを手掛けた。長崎歴史文化博物館や同市立諫早図書館の名誉館長のほか、演劇を志す人々を育成する県の「長崎座俳優工房」の講師なども務めた。
 市川さんのいとこで、市芸術文化連盟名誉会長の森長之さん(85)を委員長に今年4月、建立委員会が発足。場所は諫早図書館の敷地の一角に決まった。顕彰碑は高さ1.8メートル、幅1.5メートルの御影石製。表面には、生前親交のあった長崎市の版画家、小﨑侃さんによる市川さんの肖像レリーフや、市川さんが好きだった言葉で諫早市出身の俳優、役所広司さん直筆の「魂よ元気を出せ」をあしらう。そばの石碑の碑文には、市川さんが諫早文化協会の記念講演で語った「わが町の文化」への思いを刻む。
 森一忌は、市川さんの命日(12月10日)に近い毎年11月最終土曜日に関係者らが市内で営んでおり、これに合わせて除幕する計画。森さんは「市川さんは人間の心の幅の広さ、深みを描き、脚本を文学の域まで高めた人。その功績、諫早には文化を醸し出す素地があることを次代に伝えていきたい」と話す。
 募金の締め切りは8月末。問い合わせは同連盟内の建立委員会(電0957.22.1103)。

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