エース不在のエンゼルス 大谷自身がエースになるしかない?

エンゼルスが最後にポストシーズンに進出した2014年、先発ローテーションにはリーグ最多タイの18勝を挙げたジェレッド・ウィーバーを筆頭に、13勝以上を挙げた投手が4人もいた。ところが、15勝以上の投手は2015年のギャレット・リチャーズが最後。エース候補の故障や死亡、伸び悩みによって「エース不在」が叫ばれて久しい。この「エース不在」が6年連続でポストシーズン進出を逃す要因にもなっている。しかし、チーム状況を考えると、絶対的エースを外部から補強するのは難しい。大谷翔平がエースになるしかなさそうだ。

エンゼルスが絶対的エースを補強できない最大の原因は、野手にお金をかけすぎていることだ。球界最大のスター選手であるマイク・トラウトと12年4億2650万ドルの超大型契約を結んでいるのは仕方ないとしても、アルバート・プーホルスの10年2億4000万ドルとジャスティン・アップトンの5年1億600万ドルの大型契約は期待通りの成果を得られなかった。

2019年オフには、この3選手の大型契約を抱えていたところにアンソニー・レンドンを7年2億4500万ドルの大型契約で獲得。ゲリット・コールやスティーブン・ストラスバーグがFA市場に出ていただけに、「なぜエース級の投手を獲得しないのか」と疑問の声が上がったのは当然のことだった。

しかし、エンゼルスにはエース級の投手が入団したがらない理由があると言われている。それは大谷の存在によって6人制ローテーションを採用せざるを得ないことだ。5人制ローテーションであれば、エースは年間32~34試合に先発できるが、6人制ローテーションになると、先発登板の機会は27試合ほどに制限されてしまう。この5~7試合の違いは非常に大きい。タイトル争いや通算成績を積み重ねていくうえで、この違いが不利に作用することに疑問の余地はないだろう。

また、大谷は6人制ローテーションの順番をしっかり守ることができているわけではない。これに伴い、他の先発投手は不規則な登板を強いられることになる。6人制ローテーションによって登板機会が減少し、なおかつ大谷の状態に合わせて不規則な登板を強いられる可能性があるチームにエース級の投手が入団したくないと考えるのは極めて自然なことと言える。

よって、今後もエンゼルスが絶対的エースを外部から補強することは期待できないだろう。絶対的エースとなるポテンシャルを秘める大谷自身が6人制ローテーションの柱となり、エースへと成長するしかない。大谷が自身初のポストシーズン進出を果たすための最大の近道は、大谷がシーズンを通してローテーションを守り、エースとして君臨することに違いない。

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