【東京五輪】専門家有志「五輪は別格」と提言 組織委「より一層、気を付ける責任がある」

新型コロナウイルス感染症対策分科会・尾身茂会長(ロイター)

東京五輪・パラリンピック組織委員会は18日、新型コロナ対策専門家会議(ラウンドテーブル)を開催。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会・尾身茂会長(72)ら有志による提言が公表された。

その中には観客の収容方法と感染対策を巡って「矛盾したメッセージ」への注意喚起があった。提言の骨子には「テレビ等で観戦する全国の人々にとって『感染対策を緩めてもよい』という矛盾したメッセージになるリスクが発生する。大会主催者におかれては、このことを十分に考慮して、観客数等を決定していただきたい」と記されている。

また、他のスポーツ大会と比較して「五輪は別格」との指摘もあった。その提言は「本大会は、その規模や社会的注目度が通常のスポーツイベントとは別格であるうえに、開催期間が夏休みやお盆と重なるため、大会開催を契機とした、全国各地での人流・接触機会の増大による感染拡大や医療逼迫のリスクがある」とつづられている。

これらを踏まえ、組織委の中村英正大会開催統括は「非常に重たく、悩ましい課題だと思っています」と言いつつ「別格という表現がありますが、、やはりなぜ(五輪が)これだけ注目浴びるかというと、物理的に大きなイベントであるだけでなく、世界中のアスリートが一堂に会し、国境を越え、人種を越え、性別を超えて集まってスポーツをして、1つの連帯のメッセージを出す大きな付加価値もある。メッセージ性のあるイベントだからこそ人々が注目し、その過程で非常に盛り上がる」と持論を語った。

さらに中村氏は「そういう価値があるから許されるのではなく、コロナ禍で多くの注目を集めるからこそ、より一層気をつけなければいけない責任。それがまさにこの提言だと思います。自分たちが楽しければいいということではないのは、五輪の理念にも通じるところがあります。そこは丁寧に説明していきたい」と話した。

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