「政府は核禁止条約に批准を」 採択から4年 被爆者ら長崎で集会

平和祈念像前で核兵器禁止条約の批准を政府に求める被爆者ら=長崎市、平和公園

 核兵器禁止条約の国連採択から4年を迎えた7日、被爆者5団体は長崎市松山町の平和公園で、日本政府に条約批准を求める集会を開いた。被爆者ら約120人が参加し、今年1月の条約発効後も核保有国が核戦力を強めていることなどを懸念。「これからが正念場」として、核廃絶への機運を市民レベルでも高めていく決意を新たにした。
 参加者は原爆がさく裂した午前11時2分に黙とう。長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の田中重光会長(80)は「新型コロナ禍で世界の人々が苦しんでいるのに、核保有国は昨年、8兆円を核兵器(の製造や維持)に使った」と指摘。日本政府については「条約への署名や批准を望む多くの国民の声を聞こうとしない。本当に恥ずべきこと。政府が動かないなら自分たちで核廃絶運動を盛り上げよう」と語気を強めた。
 県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(81)は、中国が核戦力を増強し、対抗する英国も核弾頭保有数の上限を引き上げたなどと強調。「採択から4年を迎えても核兵器削減がどうなるのか、はっきり定まらない」と危惧した。
 原水爆禁止県協議会(県原水協)は市中心部の鉄橋で、政府に条約への署名・批准を求める署名活動をした。約20人が参加。「核兵器禁止条約に参加する政府を!」などと書いた横断幕を掲げ、1時間ほどで約70筆を集めた。
 署名した同市かき道5丁目の70代パート女性は「長崎は(原爆で)ひどい目に遭った。早く核兵器がなくなってほしい」と語った。
 核兵器の開発や使用、保有などを全面的に禁じる同条約は2017年に採択され、54カ国・地域が批准。米国の「核の傘」に頼る日本政府は核保有国と非保有国の橋渡し役を担う考えを示し、批准していない。政府は締約国会議へのオブザーバー参加にも消極的な姿勢をとっている。

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