阪神、大山が11試合ぶりに4番復帰も大敗 OBが指摘する「疑問が残る」タイミング

阪神・大山悠輔【写真:荒川祐史】

「最初から戻すことありきの6、7番降格だった」

■巨人 8ー1 阪神(10日・甲子園)

セ・リーグ首位の阪神は10日、本拠地・甲子園で2位・巨人と対戦し1-8の大敗を喫し、2.5ゲーム差に迫られた。大山悠輔内野手は11試合ぶりに4番に復帰したが、好機で凡退し4打数1安打。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が、4番復帰の意図と今後の行方を探った。

大山は巨人先発のメルセデスに対し、初回2死一塁で右飛、3回2死二塁では中飛。6回無死一塁では、初球の内角速球に詰まらされ三ゴロ併殺打に倒れた。試合の大勢が決した後の8回に中前打を放ち4打数1安打に終わった。

6月中旬から打撃不振に陥った大山は、同29日のヤクルト戦(甲子園)から4番の座を明け渡し6番に降格。その後は7番まで打順を下げていた。しかし、今月8日のヤクルト戦(神宮)で1点ビハインドの8回、梅野の同点タイムリーに続き、右翼席へ値千金の決勝10号3ランを放ち、復調のきっかけをつかんだところだった。

サンズ、マルテが“代役4番”として結果を残すも

野口氏は「矢野監督は大山の状態が戻り次第、4番に戻そうと考えていたはず。最初から戻すことありきの、リフレッシュのための6、7番降格だったと思います」と推察。「実際、大山が打って阪神が勝った試合は数多いですし、チームのムードも大山が打った時に最も盛り上がります」と指摘する。

ただし、「この日から4番に戻したのはタイミング的にどうだったのか、疑問が残ります。前日の9日の大山は、巨人先発の戸郷に2三振1四球で全くタイミングが合っていなかった。代わりに4番を務めていたマルテの胸中は果たしてどうだったのか……。むしろ、大山が決勝3ランを打った翌日の9日から4番に戻しておけば、周囲も納得しやすかったのではないか」と首をひねった。

大山が降格した後の4番の座は、当初サンズが3試合務め、その後は7試合連続でマルテが座り3本塁打。8日と9日にも2試合連続本塁打を放っていた。マルテには4番を外される理由はなかった。

とはいえ、1度大山を本来の4番に戻したからには、もう簡単には動かせない。野口氏は「今季の阪神の行方は、大山が握っている部分が大きいと思います。もちろん、それにふさわしい実力を持っていますが、反面、不器用なタイプで、困った時の軽打などのごまかしが利かない。いったん不調に陥ると成績に直結してしまう所が心配です」と分析する。10日現在、打率.256、10本塁打42打点とまだ本調子ではない大山だが、16年ぶりVへの鍵はこの男が握っている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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