侍ジャパンの鷹・千賀に“チーム軽視”の批判も…工藤監督「オラオラで帰ってこい!」 

二軍登板で不安を一掃したソフトバンク・千賀

世間のリアルな声を一身に受け止めて、再スタートを切った。ソフトバンクのエース・千賀滉大(28)が13日のウエスタン・中日戦(ナゴヤ)に先発。6回を3安打無四球8奪三振、最速157キロという内容で1失点に抑えた。「この1週間で思っている以上に修正できたし、方向性が出てきた」。不安を払拭するには十分な75球だった。

東京五輪代表に選出されている鷹のエースは、左足首靱帯損傷のケガから今月6日に3か月ぶりに一軍復帰。同日のロッテ戦で3回途中10失点と振るわず、本来の投球を取り戻すべく二軍再調整となっていた。球界内からは「修正能力が高いので、世間が不安をあおる必要はない」との声もあった中で五輪本番、後半戦の戦いに向けて確かな歩みを見せた。

日の丸を背負う以前に「鷹のエース」という立場を強く自覚している。復帰登板の不本意な投球が〝チームをないがしろにした〟という見方をされることも想像できた。ゆえに一軍の力になれず「本当に申し訳ない」と頭を下げた。プロは結果がすべてだけに、ロッテ戦後の世間の反応は真摯に受け止めている。

そんな千賀の胸中を最も理解するのが、育成時代から師弟関係を築く倉野ファーム投手統括コーチだ。〝反骨心の塊〟である右腕の気質を見抜いているだけに、今回の逆風にもこうエールを送っていた。

「いろんな反応があると思いますけど、それをエネルギーにすればいい。今までそうやってアイツははいあがってきたので。そういう意味で期待している。それができる選手だから」。二軍再調整という形にはなったが、1週間で体の開きを抑えるフォーム修正にきっちり道筋を立てた。

「自分の中でも大丈夫という感じがある」とうなずいた千賀。チーム内からも「すんなりいかないところが、千賀らしい野球人生」という温かい声もある。工藤監督も「金メダルを首から下げて、オラオラで帰ってきてほしい」と求めた。五輪では鷹のエースの真骨頂を見せ、完全体でチームに帰還するはずだ。

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