長崎県内の大規模盛り土 点検へ 警戒区域上部に140カ所、崖崩れの恐れ

擁壁の水抜き穴の奥行きを確認する県職員=長与町吉無田郷

 静岡県熱海市の大規模土石流災害を受け、長崎県が書類上で調べたところ、県内の「大規模盛土造成地」のうち11市町の140カ所程度が「土砂災害警戒区域」の上部にあることが13日、分かった。県は7月中に、9市町26カ所について異常がないか目視で点検する方針。中核市の長崎、佐世保両市も独自に調査する方向で検討している。
 熱海市の災害では、山間上部の谷を埋め立てた大量の盛り土が崩落したと指摘されている。政府は盛り土の安全を全国で点検する方針を打ち出した。
 県によると、大量の盛り土で造成した宅地の大規模盛土造成地は、県内19市町に790カ所ある。国の指示はまだないが、県は独自に、土石流や崖崩れの恐れがある土砂災害警戒区域との照合作業に着手した。現在精査中だが、11市町140カ所程度が同区域の上部にあるという。
 市町別の内訳は▽長崎97▽佐世保17▽諫早3▽大村2▽対馬2▽西海2▽南島原1▽西彼長与3▽時津2▽東彼東彼杵10▽北松佐々1。
 県と長与町は13日、同町吉無田郷の同区域の上部にある造成地を点検。擁壁のひび割れや水抜き穴の詰まりの有無などを確認し、異常は見つからなかった。
 県都市政策課は「長崎、佐世保両市とも足並みをそろえて確認を進めたい」としている。

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