倫世夫人を想う 松坂大輔40歳「第2の人生」と「結婚秘話」

松坂大輔と倫世夫人

【赤坂英一 赤ペン!!】40歳でユニホームを脱いだ松坂大輔は今後、どういう道を歩むのか。西武は7日に現役引退を発表。松坂本人の会見はこれからだが「西武とは何らかの形で関係を継続するはず」が、大方の球界関係者の見方だ。

2019年オフ、西武が松坂に復帰のオファーを出したのは、若い選手への影響力を見込んでのことでもあったという。松坂が日米で培った野球への取り組み方を、自分のプレースタイルや言葉を通じ、将来を担う若手に伝えてほしい。それが球団首脳、ひいては西武グループ上層部の願いでもあったと聞いている。

しかし、来年いきなり投手コーチに就任するとは考えにくい。松坂は14年に日本球界に復帰して以来、いつも故障がちでふがいない投球をしては批判されてきたからだ。

推定3年総額12億円の大型契約だったソフトバンクでは一軍登板わずか1回で1勝もできず。18年に6勝してカムバック賞を受賞した中日でも、右肩のリハビリ期間中、二軍の練習日にゴルフをしたことが写真週刊誌に報じられ、球団からペナルティーを受けている。

渡辺GMは松坂の状態について「現在、体調面、精神面でも決して万全とは言えない」とコメント。恐らく、球団付アドバイザーのような肩書を松坂に与えて、徐々に指導者としてのグラウンド復帰を図るのではないか。

そうした中、6歳年上の倫世夫人は今、松坂にどんな助言をしているのだろう。彼女が公に発言することはないにせよ、家庭では今後の生き方について松坂とじっくりと話し合っているはず。

松坂がレッドソックスで投げていた08年、私は雑誌「AERA」の仕事で、倫世夫人にインタビューした。松坂との交際中もさまざまな精神的重圧がのしかかり、倫世夫人のほうから「別れましょうか」と言ったこともあった、とボストンで聞いた。

松坂からプロポーズを受けたのは、日本で3年連続最多勝のタイトルを獲得した01年オフ。倫世夫人は慎重で「アテネ五輪の04年まで(交際が)続いていたら一緒になる」と答えている。

松坂を待たせることになる3年間で「主人にもっと強くなってほしいと思いました」と、倫世夫人は言った。プロ野球選手としてだけでなく、一個の人間として、だ。むろん、そのための助力も惜しまなかったようだ。

第2の人生に向けて、松坂はここでもうひとつ人間として強くなることが必要だろう。今、それを最も強く感じているのが、倫世夫人だと思う。

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