町屋改修し事務所開業 建築士・小林拓也さん(39)  人集いまち元気に 上越市本町2

 上越市本町2の雁木に残る町屋を改修し、今秋、事務所兼コワーキングスペースとして開業する準備が進んでいる。オーナーは一級建築士事務所「のりしろ」を経営する小林拓也さん(39)。「人が集まり、まちが元気になるきっかけに」と願いを込める。

 上越市出身で「古民家鑑定士」「伝統再築士」の資格を持つ小林さんは、いつか故郷で仕事を手掛けてみたいと、高田で進む古民家活用やリノベーションに関心を寄せてきた。

 東京で事務所を構えながらも、パソコンがあればどこにいても仕事はできる、また自然豊かな故郷で子育てをしたいと思っていたところに新型コロナウイルス感染症が拡大。リモートワークなど多様な働き方の広まりが、家族と共に帰郷して事務所を開く決め手となった。

 以前にニュージーランド出身の男性が住んでいた築80年の町屋は、かつて薬局だったという。建築士として最初に手掛けた仕事が薬局の新築工事だったこともあり、縁を感じた。

築80年の町屋を改修し、事務所を開業する建築士の小林さん

 建物1階は事務所に、2階はコワーキングスペースとして起業したい人、事務所を開設したい人などに利用を促し、チャレンジする気持ちを応援したいと語る。また、イベントへの貸し出しなど構想を膨らませる。

 建築士は人と人との間をつなぐ「のりしろ」のような仕事と捉え、社名に掲げる小林さん。まちに暮らす人と通りを行き交う人たちとの、新たな関係をつないでいきたいと意気込んでいる。

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