平戸神楽継承へ 基本を再確認 後継候補と神職 育成講習

面を着け、平戸神楽の所作の指導を受ける三輪笙太君。右は大鳥居宮司=平戸市、亀岡神社

 国指定重要無形民俗文化財、平戸神楽の後継者育成講習会が20、21の両日、長崎県平戸市岩の上町の亀岡神社(下條紀元宮司)であり、市内の小学生1人と神職15人が神楽継承に向け、基本を再確認した。
 神楽は16世紀後半、平戸島に伝わった。17世紀中ごろ、平戸藩が全国の神楽を実地調査し、全24番の舞で構成する現在の平戸神楽が確立されたとされる。1987年、国の重要無形民俗文化財に指定された。
 講習会は平戸神楽振興会主催。伝統芸能の振興と若い世代の担い手を育てようと58年から続けているが、新型コロナウイルスの影響で昨年は開催を見送った。
 講習会は神職向けと後継者候補向けに分けて実施。後継者候補の講習には、三輪神社(紐差町)の三輪浩孝宮司(54)の長男で市立紐差小5年、笙太(しょうた)君(10)が参加。志々伎神社(野子町)の大鳥居享宮司(63)と総社神社(田平町)の美明(みあけ)正治禰宜(ねぎ)(41)らが道具の持ち方、構え、動きなど基本を指導。笙太君は実際に面を着けて所作を確認した。
 小学1年から欠かさず受講する笙太君は「平戸くんちなどで見て覚えているけど、道具の握り方など間違って覚えていたところを直してもらった」と振り返った。木田昌宏会長(80)は「今年は残念ながら1人だったが、来年は新型コロナも収束に向かい、多くの後継者候補が参加することを期待している」と話した。
 同振興会は後継者を育てる地道な活動などが評価され、2019年に「地域伝統芸能大賞」を受賞した。

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