平和教育は“西高東低”傾向 大学生ら1486人にアンケート調査

SNSを活用した発信活動などを報告したナガサキ・ユース代表団の第9期生=長崎市文教町、長崎大

 核兵器に関する問題を学び、若い世代らに伝えるナガサキ・ユース代表団の第9期生9人は22日、長崎市内で活動報告会を開き、「日本の小学校における平和教育の地域差」をテーマにした全国の大学生らへのアンケート結果を発表した。長崎、広島の両被爆地や沖縄をはじめ、各地域に近い西日本で平和教育の頻度が高く、東日本になるに従って低くなる“西高東低”の傾向がうかがえた。
 アンケートは3月20日~8月3日、インターネットで実施。有効回答は18~24歳の1486人だった。
 小学校で受けた平和教育の頻度は、長崎、広島、沖縄が5.7回を上回ったのに対し、関東、中国(広島除く)、北海道・東北は半数以下の2.5~2.7回。有吉亜樹人さん(22)=長崎大3年=は「太平洋戦争の被害が大きい地域ほど平和教育の頻度が高い傾向と考えられる」と分析。
 平和教育の題材も地域差が顕著だった。長崎、広島は原爆投下、沖縄は沖縄戦などが中心。それ以外の地域は原爆投下と日本の戦争被害がほぼ同率で、日本の加害は約15%。海外で過ごした人の約36%が日本の加害を学んだと答えた。
 有吉さんは「戦争や原爆を体験した人がいなくなった後、その非人道性に気付かない人が多数を占め、過去の歴史を繰り返すと危ぐする」と地域差が意味する課題を指摘。「戦争の被害と加害、現代の紛争などを多角的に捉える平和教育が全国一律で行われるシステムが必要」と提言した。
 代表団は県、市、長崎大が人材育成を目的に2013年から毎年選考。9期生はコロナ禍で核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせた海外研修が中止になったが、オンラインイベントや出前講座などに取り組んだ。

© 株式会社長崎新聞社