まん延防止適用 長崎、佐世保市の飲食業に落胆広がる 効果 疑問の声も

まん延防止等重点措置区域に指定された長崎市。中心部のアーケードは25日、多くの人が行き交っていた=午後0時4分

 新型コロナウイルスの感染急増を受け、長崎県がまん延防止等重点措置の適用を受けることが決まった25日、措置区域に指定された長崎、佐世保両市の飲食業者や商業施設関係者に戸惑いや落胆が広がった。一方、市民からは効果を疑問視する声も聞かれた。
 今回の措置で、県は両市の全ての飲食店に酒類提供の自粛を求めた。「お酒と料理はセット。お酒を出せないなら、休業しないといけない」。長崎市浜口町の「居酒屋むつくら」の店主、六倉明夫さん(70)はため息をつく。
 同市大黒町の居酒屋「大庄水産長崎駅前店」は県の時短要請以降も通常通り午後11時まで営業してきたが、今回の要請には応じる方針だ。運営会社の大庄(東京)によると、これまでに重点措置が発出された他の地域では要請を受け入れており、「世の中の状況に合わせる必要がある」。同店を含む県内の系列6店舗について、休業も視野に検討している。
 佐世保市のハウステンボスは、31日まで開催予定のビール祭や、来月11日から始まるワイン祭など、集客が期待できる人気イベントが影響を受けることになる。閉園時間は現在、1時間前倒しの午後9時としているが、さらに1時間の短縮が求められる。担当者は「夜のイベントを楽しみにしているお客さまは多く、当然ダメージはあるが、今の感染状況では仕方ない」と冷静に受け止める。
 同市新港町の大型商業施設「させぼ五番街」は、飲食以外の物販テナントは午後9時まで営業している。午後8時までの時短要請には「応じるべきだと考えている」と担当者。一方、客が密集しないよう人数の管理、制限などが求められたことについては「入り口も多く、かなり難しい」と困惑。「館内アナウンスで呼び掛けるなど、できることを考えたい」と話す。

長崎、佐世保両市で時短要請の対象となる大規模集客施設(床面積千平方メートル超)、主な要請内容

 一方、長崎市の40代女性看護師は「都会でやって今まで効果が見られないので、あまり変わらないのでは」と首をかしげた。県独自の緊急事態宣言は発令中だが、25日も両市の繁華街では昼間、多くの人が行き交っていた。
 県医師会の森崎正幸会長は重点措置適用について「佐世保や長崎の病床の逼迫(ひっぱく)状況を考えれば必要」とし、県民には「デルタ株は怖いということを再認識し、不織布マスクの着用、県境を越える移動の自粛などを徹底してほしい」と呼び掛けた。また、宿泊療養施設の使用率が高まり、自宅療養が増えていることを受け「長崎、佐世保ではサポート医を募集している」と話した。


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