「鎮火」見えず

 8月は「火の月」だと勝手に名付けている。過去の戦火を思い、お盆の迎え火、送り火、炎暑と、どこか火につながる。燃え広がるように-と、今の新型コロナの広がりを例えるとすれば、この8月もまた「火の月」だろうか▲今月6日の長崎大の発表に、目を見張った人も多かったろう。県内のコロナ感染者数は、市民が接触の機会を7割減らしても、お盆の入りには140人になる-と推計した。実際には19日に過去最多の114人に達している▲今も感染に“鎮火”の様子はうかがえない。本県で初めて、まん延防止の重点措置が適用され、県は長崎市と佐世保市をその対象にした▲そこでは飲食店で酒類を終日出さないよう求められ、カラオケボックスなどにも時短営業が要請される。「経済再開」の扉を開く日はまだ見えない▲県内でこれまで、崖っぷちに立たされたのは5月の第4波で、長崎市を中心とする医療圏のコロナ病床は98%超が埋まった。このとき県は重点措置を政府に要請し、見送られている。遠目に様子をうかがうような政府のそぶりは今もって不可解だが、それでも何とか波を超えた▲先の推計を発表した長崎大のグループは「県民は自主的に行動を変えることで感染を減らしてきた」と期待した。今また、一人一人が“消火活動”を怠るまい。(徹)


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