晩婚カップルが直面する予期せぬ出来事、人生の三大支出6000万の準備が厳しくなる現状にどう打ち勝つ?

今の時代は、周りを見回しても、30代半ばで未婚の人が多い。言わば晩婚時代なのです。30代半ばで初婚、初産という人も決して珍しくはありません。

昭和の時代を生きてきた両親が辿ってきたライフプランは、もう通用しなくなっています。長寿でしかも晩婚時代にあった、新しいライフプランというのが必要なのです。

とは言っても、晩婚カップルには大きな試練が待っています。人生の三大支出が一気に襲ってくるからです。どんな危機がありうるのかを知り、備えをしっかりしておくことで対処の方法もあります。


子どもの年齢と自分の年齢

結婚が遅くなったとき、子どもが成人する年齢と自分の年齢を考えることがあると思います。では、その時のライフプランとお金についてイメージできますでしょうか?

ここで、シミュレーションをしてみましょう。たとえば、35歳の時にできた子どもがいるとします。逆算をしてみますね。

60歳で定年をします。
57歳の時に子どもは卒業します。
55歳は役職定年で給与が下がります。
53歳〜57歳までは子どもが大学生になり教育資金のピークです。
40歳の35年の住宅ローンを組みました。返済は75歳です。

人生の三大支出。合計額は約6000万円

人生の中でもっともお金がかかるのは「住宅資金」「教育資金」「老後資金」です。これを人生の三大支出と言います。それが晩婚化により、35歳から60歳の間の25年間に集中してしまうのです。

それぞれどのくらい必要なのかというと、一例ですが下記のような目安になります。

住宅資金:3,000万円
教育資金:1,000万円(私立文系大学のケース、子ども一人の金額)
老後資金:2,000万円
合計:6,000万円

単純に割ると年間240万円です(月額約20万円)。もちろん、生活をしているわけですから、生活費は別にかかります。

高額所得者ではない限り、ほとんど不可能に近い金額だと思いませんか? 昭和の時代は、25歳から60歳までの35年間ですから、年間約171万円(月額約14万円)です。しかも景気がよくて給料も上昇していた時代というのもありました。

晩婚化の時代では、結婚・出産から退職までの期間が短くなっているのです。人生の中でもっとも大きな三大支出が同時になるのですから、まさに三重苦でしょう。

親の介護に備える必要がある

さらに追い打ちを掛けるようですが、まったく予期しない出来事が起こるかも知れません。それが両親の介護です。

自分が40代だと両親は60代ぐらい、50代だと70代ぐらいが多いでしょうか。60代後半から介護の心配をする必要があります。70代前半では5.6%の人が介護が必要になっています。

両親とは、自分の両親と配偶者の両親つまり4人です。そのうちの誰か1人でも介護になった時には、ライフプランは大きく崩れてしまうことがあります。まして二人同時になると大変です。

さらに、介護離職になった場合は、もっと大変です。介護離職は、大きな収入減になるので、その後のライフプランを変更せざるを得なくなります。最悪共倒れになったら大変です。ですから、介護離職はなるべく避けた方がいいでしょう。

ライフプランの後ズレに対応する必要がある

このように晩婚化では、いままでのロールモデルが、通用しなくなっているのがわかりますよね。では、実際にどうすればいいのかというと、新しいロールモデルを見つけることです。

晩婚化は、長寿社会の裏返しでもあります。つまりライフプランの後ズレをすればいいのです。

それは、働く期間を延長するということです。

「人生100年時代」といわれ長寿化が進んでいます。60歳といっても元気ですし、65歳以上になっても働き続けている人が増えているのも事実です。内閣府の「高齢社会白書(令和2年)」によると65歳以上が占める労働力の割合は、年々増えており全体の13.2%になっています。

全体的にズレてきているので、老後資金も60歳までに貯めることができなかったら、60歳から70歳までの10年間に準備を考えます。

「人生100年時代」に対応した働き方

現実に長く働くためのロールモデルが必要になってきます。

一つは、キャリアを磨くことです。自分の専門制を磨くことをお勧めします。スキルを高めることで付加価値を得ることができます。また年齢によってキャリアを使い分ける「パラレルキャリア」も有効でしょう。

マネープランも、資金の運用、iDeCoの活用、年金の繰下げ受給といった知識を持つことも重要です。

年齢が上がっての就労となると、健康などのリスクもありますので、「がん保険」「就業不能保険」など、現役と同じような備えも必要になってきます。「終身雇用」「年功序列」といった考えは、もはや通用しないと思ってください。考え方を一新して働き方を構築し直すことが重要です。

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