二軍落ちの巨人・中田翔に…同郷・大下剛史氏がゲキ「泥まみれになれるかで、今後の人生も変わる」

二軍で長嶋終身名誉監督(右)からの直接指導を受けた巨人・中田翔(球団提供)

巨人に電撃加入した中田翔内野手(32)が、新天地でももがき苦しんでいる。出場した16試合で打率1割5分に低迷し、11日に二軍落ちした。球界内に居場所を失った中田に救いの手を差し伸べた原辰徳監督(63)が下した決断を、本人はどう受け止めるべきなのか。元日本ハムで同郷・広島出身の本紙専属評論家の大下剛史氏は、今回の二軍降格が中田の現役続行も含めた野球人生の分岐点となると指摘した。

逆転2ランを含む4安打5打点の大活躍。昨季パの打点王らしい目覚ましい数字が並んだのは、12日に行われたイースタン・リーグだった。トレード移籍前から引きずる打撃不振から抜け出せず、巨人でも約3週間で一軍の舞台から姿を消した。

原監督は13日に初めて二軍降格を告げた際の詳細なやり取りを明かし、本人には「もう一回、体をつくり直して来ような」と伝えたという。復調を待ちながらスタメンや代打でも起用したが「(状態が)普通だったら、もうちょっと打たなきゃ困るよ。速い球に差し込まれ、変化球にもこうなっちゃう」。速球を打ち返せず、変化球に体勢を崩される悪循環を〝限界〟と判断し、再調整を命じた。

批判覚悟で引き取った元日本ハムの主砲も、特別扱いすることなく二軍送り。大下氏は「この決断ができるのは原監督だけだろう。よくぞ決断したと思う。翔にとってもいいことだ」とし、こう続けた。

「『自分の力ではい上がってこい』という原監督のメッセージなのだろう。どこで間違ったか、本来の翔は純粋に野球が好きな子だ。野球を続けさせてもらえていることへの感謝を忘れず、昔の気持ちを思い出せ。だが、口先だけの言葉はいらない。プレーで見せるしかない。泥にまみれろ。泥だらけになってしがみついてみろ。原監督はそういう翔の姿勢を見ているはずだ」

中田は古巣での自身の愚行で、一時は引退も覚悟したという。もちろん、グラウンドで結果を残すことで、過去の過ちが洗い流されるわけではない。それらも踏まえた上で現役続行の道を選択し、巨人は日本ハム側の打診を受けて今季までの契約も引き継いだ。しかし、来季の立場を保証するものはない。大下氏は中田が二軍落ちでふて腐れるのか、性根を入れ直してゼロから再出発できるのかが大きな分かれ道と見ている。

「泥にまみれて本当の意味で翔が変われるかで、今後の野球人生も変わってくる。これからも(メディアに)取り上げられ続けるだろう。それも今までとは違う巨人という環境だ。(12日の結果は)このままではイカンという気持ちもあったのだろう。私ははい上がって来られると信じている」

逆転V3へ原監督も「そりゃもうみんな戦力ですよ」と再起を期待しているが、中田は復活を遂げられるのか――。

© 株式会社東京スポーツ新聞社