エンゼルス・大谷の「球団は好きだが、それ以上に勝ちたい」発言に地元メディア動揺

大谷の思いは届くか(ロイター=USA TODAY Sports)

エンゼルスの大谷翔平投手(27)の「勝ちたい」発言に地元メディアがピリピリしている。大谷は26日(日本時間27日)に本拠地最終戦のマリナーズ戦に今季20度目のリアル二刀流の「2番・投手」で先発し、7回を投げ、1本塁打を含む5安打1失点、10三振1死球と好投したが、打線の援護がなく10勝目を逃した。チームは1―5で敗れた。あと1勝としている1918年のベーブ・ルース以来の「2桁勝利1&2桁本塁打」は3度目のお預けだ。

大谷は試合後のオンライン会見で「もっとヒリヒリするような9月を過ごしたい、クラブハウスの中もそういう会話で溢れるような9月になるのを願っている」と本音を吐露。2年後のFAについて聞かれると「ファンの人も好きですし、球団自体の雰囲気も好きですけど、それ以上に勝ちたいという気持ちの方が強い」とチームの勝利最優先に考えると明言した。将来の移籍を前提としたわけではないが、地元メディアは動揺した。

ロサンゼルス・タイムズ紙は「警告されたエンゼルス… 大谷翔平は勝ちたいのだと明確に表明」との見出しで危機感をあおった。「大谷は今季、エンゼルスのみならず野球界全体にとって最高の出来事だが、大谷も負けるのは疲れたのだ」と強調。さらに主力のトラウト、レンドン、アップトンらが負傷者リスト入りしたままシーズンを終了し、一時は最多安打のタイトルを狙える活躍だったフレッチャーもスランプで打順が9番に下がったたため、大谷は「夏中ずっと負荷を負わされてきた」と同情した。

オレンジカウンティ・レジスター紙も「またしても1失点10奪三振の力強い投球をし、大谷はエンゼルスがまさに見たいものを見せたが、結果は、誰もが見慣れたもの(負け試合)だった。エンゼルスが勝つために大谷はこれ以上できることはない」と訴えた。

米CBSスポーツ(電子版)は「大谷はエンゼルスとの未来について、勝つこと、あるいは勝つ可能性があることが判断の基準になると言う。2022年は、エンゼルスが強いチームであることを大谷に証明する極めて重要なシーズンになるだろう。(FAとなる)23年以降も大谷にエンゼルスにいてもらうためのオーディションを受けている」と補強の重要性を説いた。

AP通信は「大谷翔平は勝利に飢えた状態で輝かしい今季を終える」との見出しでチームをバッサリ。「大谷がエンゼルスという大型予算がありながらも6シーズン連続負け越し、7シーズン連続でプレーオフ進出を逃した組織に所属しているため、その素晴らしい才能をポストシーズンで楽しむことができない。大谷がエンゼルスに早く強くなってほしいのは明白で、それを言及することを怖がっていない」

レギュラーシーズンは10月3日(同4日)、1週間後に終わるが、エンゼルスフロント陣の戦いはここからが本番。メジャーの宝、大谷を23年以降もキープするためには勝てるチーム作りが必須だ。補強に失敗するわけにはいかない。

© 株式会社東京スポーツ新聞社