長男の大学入学金が払えない!3人の学費が貯められていない40代夫婦。今から何をすれば?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、3人の子を持つ46歳・共働きの女性。長男がAO入試で大学に受かったものの、入学金などを支払うお金がなく、困っているといいます。これから3人分の大学費用が必要になるなか、どのように家計を改善していけばよいでしょうか? 家計再生コンサルタントの横山光昭氏が運営する『マイエフピー』のFPがお答えします。

昔から、家計のやりくりが苦手です。貯金もあまりできず、家計を改善したいと思って数年前に独立系だというファイナンシャルプランナーに相談したこともあったのですが、生命保険の契約を勧められ、契約して終了。その後も家計が良くなることはなく、支出が増えただけで、貯金はできませんでした。ですから、今回こそ、家計を上手にやりくりできるヒントをいただけたらと思っています。

困っているのは、教育費の捻出です。家計は赤字で、ボーナスでなんとかしている状況なので、相変わらず貯金ができていません。ですが、子どもは18歳、16歳、13歳とこれから教育費がかかる年齢に育ちました。

教育資金が十分ない中、一番上の子はAO入試で大学に合格。10月中に入学金、授業料など、半期分で90万円、1年分なら140万円を支払わなくてはならないのですが、その工面ができません。2月か3月ごろに多少準備できればと思っていたので、節約して、12月のボーナスを使わないようにして、などと考えていたのですが、10月に必要になるとは思いませんでした。

奨学金は申し込んでも間に合わないようですし、銀行などでお金を借りられるものでしょうか。またその下の子たちの時には同じことにならないよう、できるだけお金を貯めておきたいと思っています。絶対貯めるという覚悟です。家計が改善できるよう、ご指摘とアドバイスをいただきたいです。

【相談者プロフィール】

・女性、46歳、会社員

・同居の家族について:夫、48歳、会社員

長男(高3)・長女(高1)・次男(中1)

・手取り収入:

相談者/月収23万4,000円、年間ボーナス約40万円

夫/月収25万5,000円、年間ボーナス約60万円

・貯金:約80万円

・毎月の支出の目安:48万3,000円

【毎月の支出の内訳】

・住居費(ローン・管理費 ):7万8,000 円

・食費(外食含む):7万3,000円

・水道光熱費:2万1,000円

・通信費(スマホ6台・ネット回線):5万5,000円

・生命保険料:1万2,000円

・日用品代:8,000円

・医療費:3,000円

・教育費(塾):7万5,000円

・交通費:2万1,000円

・被服費:5,000円

・交際費:4,000円

・娯楽費:1万3,000円

・こづかい:7万4,000円

・その他:4万1,000円


FP:教育資金を払うには、確かに足りない資産状況ですね。大学や専門学校に合格すると、その後1〜2週間で半期分または1年分の学費の支払いを求められることがほとんどです。合否判定が早い推薦入試、総合型選抜入試(AO入試)などでは秋口に支払いを求められます。支払わなければ合格は取り消しです。このような情報は、早めに知っておけたらよかったですね。

予定より早く学費を支払う、貯金以外の手段

ご相談者のように、推薦や総合型選抜入試に合格し、通常より早い時期に学費が必要となり、焦るというご家庭も、ある程度いらっしゃいます。奨学金の予約採用を申し込んでいたとしても、秋に必要になる学費の支払いには間に合いません。貯金で支払うことができない場合、やはりローンを頼るしかありません。

ローンには国の教育ローン、銀行など金融機関の教育ローンがあります。国の教育ローンは通常ですと審査まで10日ほど、融資実行まで10日ほどの計20日ほどでお金を借りることができるとされています。銀行等でも、審査から貸出まで、口座を持っている人の場合は2週間ほどかかります。混雑具合などにより、かかる期間は変動しますから、できれば慌てることがないよう、必要となる2〜3カ月前に申込をすることが理想です。

どうしても間に合わない場合は、カードローン、キャッシング等でお金を準備するしか無くなりますが、金利が高く、教育費のような高額を借りるのには不向きです。これは最悪の手段として考えておきましょう。やむを得ず利用するならば、金利の低いローンを借りた後、すぐに早期完済するようにしましょう。

また、奨学金の予約採用が決定している場合、「ろうきん」が「入学時特別増額貸与奨学金」を担保に入学前にお金を貸してくれるという制度をご存知かもしれません。ですが、奨学金の採用は12月過ぎに決まるので、今回のような早期合格者は利用できません。

奨学金を借りる場合は、子どもと一緒に返済プランを立てること

教育費の準備は、多くの人がお子さんが小さい時期から取り組んでいます。ただ、家計の事情により思うように貯まらない場合もありますよね。そういう時は、お子さんも交え、どのように学費を払っていくかを相談してもいいでしょう。

大学生を見ていると、裕福で、学費も生活費もまるまる親が負担してくれているという子がいる一方で、奨学金を借り、自分のアルバイト代も学費と生活費にして何とか通っているというお子さんも多数います。

奨学金は子どもがする借金ですが、金利も安く、ローンを借りるよりも返済負担が少ないもの。卒業後の支払い金額をシミュレーションし、将来的な社会人1年目の収入の予想から、返済に無理はないかを検討して金額を決めましょう。その金額が学費として不足するなら、アルバイト代を足したり、親も毎月学費用の積立をするなどして工面できるよう、ご家庭に応じた対策を考えていきます。

大学生では、日本学生支援機構の1種、2種の奨学金の貸与を受ける学生が多いですが、そのほか大学独自の貸与型、給付型の奨学金、企業が就職を前提として募集する給付型の奨学金など、複数の奨学金の募集があります。競争率は高いでしょうし、家計状況、成績などの条件などクリアすべきこともあると思いますが、それらを調べ、利用を検討することも良いと思います。

お金を貯める3つのアクション

今後のことも考えなくてはいけません。貯められる家計を作るには、やはり支出の削減が必須です。もし、本業に影響がないように副収入を狙えるなら、取り組んでもよいと思います。

「収入を増やす」「支出を削減する」、そしてご相談者にとっては少し先のステップになりますが、「すぐ使わないお金(余裕資金)を運用する」。この3つがお金を貯めていくために必要なアクションなのです。

家計改善に効果的なのは通信費の削減

支出に注目すると、通信費は簡単に下げられると思います。もしかすると、ご家族の中に大手キャリアを使うことにこだわっている方がいるのかもしれませんが、大手キャリアを利用するほうがお得な場合以外は、大手キャリアの格安プランや、格安スマホへの変更を検討しましょう。

スマホ代は比較的簡単に2万円かからないほどにできるでしょうし、契約の仕方を工夫すると、1万円以内に抑えることも容易に可能だと思います。

弊社代表の横山光昭の家庭では、現在7人家族でスマホ代が月8,000円ほどに収まっています。ご相談者のご家庭でも、それ位を目指せるかもしれません。そこにWifi代を加え、通信費の支出を1万5,000円ほどに抑えられるとしたら、4万円も支出を減らせます。

家庭の個性に合った上手なお金の使い方をするために

食費、水道光熱費、娯楽費等についても、絶対必要なもの、さほど必要ではないものという区分けをしながら支出を見直すと、さらに支出削減が可能でしょう。

また、一度FPに家計を相談し保険を契約したということですが、保障内容は今の家族状況に合っているでしょうか。万が一の時にお子さんの学費、生活費を守れるだけの保障があるか、病気やケガの時の医療費、生活費を出せるだけの保障があるか、公的な保障も合わせて検討をしてみましょう。もしかすると、現状の内容では過不足があるかもしれません。

どのような支出も、必要か、さほど必要でないかという視点で見ていくと、支出の仕方にメリハリが付き、ご家庭の個性に合ったお金の使い方ができるようになるでしょう。頑張ってください。

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