長崎大学病院にトリアージ棟完成 感染症や災害時 医療のとりでに

特殊災害・新興感染症トリアージユニット棟内の待合室。ウイルスの拡散を防ぐため室内の空気は陰圧管理ができる=長崎市坂本1丁目、長崎大学病院

 長崎大は21日、長崎大学病院(長崎市坂本1丁目)の敷地内に「特殊災害・新興感染症トリアージユニット棟(TED棟)」が完成したと発表した。新型コロナウイルス陽性者を診断して、入院か宿泊療養施設などで経過観察するかの判断を下すほか、大災害時に治療の優先順位を決めるなど非常時の地域医療のとりでとしての役割を果たす。
 TED棟は鉄骨平屋約180平方メートル。既設の国際医療センターの感染症病棟に直結させ、スムーズな連携を図る。診察室や待合スペースを設け、各スペースはウイルスの拡散を防ぐため空気の陰圧管理ができる。患者の容体が急変したときのために医療ガス設備やナースコールも設けた。可動式の壁で大部屋化が可能。平常時には会議や研修など多目的に使用する。
 建設費は備品を含め約1億3千万円。国や県の補助を受けた。
 同病院ではこれまで、屋外に設置したコンテナの診療室やテントの待合室などで「トリアージ外来」をしてきたが、夏は暑く、冬は寒く、患者や医療者の負担が大きかった。TED棟の整備により、安全で衛生的な医療体制を整えた。
 21日に現地で看板除幕式があり、河野茂学長は「安全性が増した。幅広く使用し、県内の医療に貢献していきたい」とあいさつした。同病院感染制御教育センター長の泉川公一教授は「(新型コロナ感染の)第5波はデルタ株の影響で想像以上の患者が出た。もしかすると第6波も大きく増える可能性があるが備えができたので、しっかり対応できるだろう」と述べた。


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