景気判断2期連続据え置き 下振れリスク注意 長崎財務事務所

 長崎財務事務所がまとめた10月の長崎県内経済情勢報告は、総括判断を「新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況にある中、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しつつある」と2期連続で据え置いた。
 個人消費のうち、本県へのまん延防止等重点措置の適用などを受け、百貨店・スーパー販売額は来店者数の減で前年を下回った。観光も施設の休館や修学旅行の中止で低迷。全国的な緊急事態宣言の解除に伴い、足もとでは個人客や修学旅行の予約が増加している。
 乗用車の新車登録・届け出台数は前年を下回った。受注は堅調だが、半導体部品の供給不足による自動車メーカーの減産が響き、3カ月から半年近く納車が遅れ、売り上げが減少した。
 生産活動は、半導体需要が拡大している電子部品・デバイスは持ち直している。しかし、厳しい受注環境が続く汎用(はんよう)・生産用機械の生産高が減少傾向。大手造船は一定の受注残高と操業を維持している。
 雇用は有効求人倍率が底堅く推移しているものの、コロナ禍の影響で弱い動き。長崎駅周辺再開発などで建設業の求人は増加しているが、宿泊・飲食サービスなど多くの業種でコロナ禍前の水準を下回っている。
 丸山徹所長は先行きについて「各種政策の効果などで景気が持ち直していくことが期待されるが、サプライチェーンを通じた影響による下振れリスクに十分、注意する必要がある」と述べた。

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