地域の協力強化を 諫早で九州「農地・水・環境保全」フォーラム

活動事例発表があったフォーラム=諫早市、諫早文化会館

 農業や農村が持つ多面的機能の維持や継承、発展につなげる「九州『農地・水・環境保全』フォーラムin長崎」(ふるさと環境フォーラム・九州連絡会主催)が11日、長崎県諫早市宇都町の諫早文化会館で開かれた。水質保全や食育活動などに取り組む4団体の事例発表があり、農村地域の資源や環境保全に地域が一体となって取り組んでいく大切さを考えた。
 昨年はコロナ禍で延期され、2年ぶりの開催。九州・沖縄各県から生産者を含む農村地域の住民、行政関係者ら約600人が参加した。あいさつした同連絡会の松尾一郎会長らによると、住民の高齢化に伴い農村地域の多面的機能の低下が懸念され、持続可能な農村集落の実現が課題になっている。
 長崎や福岡など4県の4団体が事例発表。このうち南島原市内の九つの活動組織で設立した南島原農地保全広域協定運営委員会は、組織の広域化を進めて現在、市内13組織が加入していることや、事務の負担軽減、情報の共有化、予算の有効活用といった広域組織のメリットを説明した。その上で農道の草刈り、芝桜の植栽、水路の補修などの活動を紹介し、生産者以外の地域住民との協力体制の強化など今後の課題を挙げた。関係者は「地域住民一人一人が『古里は自分たちが守っていかなければ』と思ってもらえるような活動をしていきたい」と述べた。
 フォーラムでは平戸市の昆虫写真家、栗林慧さんの基調講演「里山の昆虫たち」もあった。

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