巨人編成に求められる “眼力” 今年は育成→支配下昇格7選手「一軍定着ゼロ」の不発ぶり

防御率0点のまま、一軍から声がかからなかった巨人・戸田(東スポWeb)

セ・リーグ3連覇を逃し、3位に沈んだ巨人は秋季練習を打ち上げ、本格的なオフに突入した。V逸の原因は昨オフの補強の失敗を筆頭に、投打でも課題が山積しているが、ライバル球団からは育成から支配下に昇格した7人についての指摘も…。一軍に定着できた選手はおらず、中には一度も一軍に呼ばれなかったケースもあり、来季は編成面の〝眼力〟を上げることも求められそうだ。

巨人では26日から契約更改がスタートし、この日は平内ら若手8選手が契約書にサインした。

来季の至上命令は何よりもV奪回だ。今季はFA加入した梶谷が故障離脱を繰り返し、井納は鳴かず飛ばず。新外国人のスモークとテームズ、ハイネマンが3人ともシーズン中に帰国する異常事態も発生した。投手陣はリーグ4位の防御率3・63。攻撃陣も2年連続2冠王の岡本和以外の主力が本来の力を発揮できず、新たな若手の台頭もみられなかった。何から何までかみ合わず、長い戦いを終えた原辰徳監督(63)もしみじみと「よくあの位置(3位)にいられたな」とつぶやいたほどだった。

一方で、他球団からは巨人内部での補強を巡ってこんな指摘も飛んでいた。

「育成選手を支配下に登録するのは、一軍の戦力になる見込みがあるから。使わないなら支配下にする意味がない。終盤戦を見据え、現場の選択肢を増やすために70人枠を埋めたのかもしれないけど、結果的に戦力として使えなかったのなら編成の失敗と言われても仕方がない」(セ球団関係者)

球団は春季キャンプから八百板、高木、戸田、平間、直江、鍬原、喜多の7選手を育成から支配下に昇格させた。八百板はシーズン終盤に一軍に食い込んだが、高木は故障で約5か月間離脱。後半戦から先発ローテ入りが期待された直江も、先発した3試合でいずれも結果を残せなかった。

さらに、6月に救援投手として3試合に登板した戸田は防御率0・00だったが、登録を抹消されて以降は出番なし。平間も代走として1試合に出場し、打席に立つことなく1週間足らずで二軍落ちとなった。そして、補強期限ギリギリの8月末に滑り込みで支配下復帰した2017年ドラ1の鍬原は、一度も一軍に昇格することなくシーズンを終えた。

鍬原と平間の2人は来季は再び育成から再出発する方針という。故障者が続出し、新戦力も誤算だらけだった原巨人。来季もどんな荒波が押し寄せるか分からないが、編成側の〝精度向上〟も不可欠となる。

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