そんだけ?

 「在職が1日だけなのに、まるごと1カ月分が支給されるのはおかしくないですか」「おお、その通りです。次からは日割り計算でいただくことにしましょう」-。当たり前の問題提起と当たり前の対応に思える。でも、何かが欠けている▲国会議員に支給される月額100万円の文書通信交通滞在費を、これまでの月割りから日割り計算に改める法改正が次の国会で成立する見通しになった▲国会の非常識な慣行が世間の常識に一歩でも近づくことは歓迎したい。しかし「1カ月100万円」の金額は、国会の皆さんの疑問の対象にはならなかったらしい。誰が見たってかなりの大金だ▲「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」のお金に、東京での「滞在費」が加わってこの金額…という。郵便代や電話代で使い切れる額ではあるまい。都心の一等地には議員宿舎もある▲国会議員にある程度の待遇が用意されること自体を否定するつもりはない。名目と懸け離れた妙な金は、とっとと返上するなり実費支給に改めるなりして、その上で、あるべき給与の額を堂々と論議すればいい▲お金に色はついていない。だが、そこを厳格に厳密にしっかりと色分けするのが「公」の金の使い途だ。議論は始まったばかりのはず-念を押しておきたい。(智)

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